本科目では、化学実験第一で学修した化学実験を行うための基本的な知識・技術をさらに深めるとともに、基礎的な化学の考え方をより深く学修できるプログラムを提供している。無機化学、有機化学、分析化学、物理化学に関する6テーマの実験をクラス毎に順次行い、2クォーターかけて化学実験第二を履修する。実験の前に講義と演習問題を行い、実験後にレポートを作成することにより理解度を高める。
本科目では、化学第一で学んだ実験技術に加えて、より正確で安全な実験操作の修得をめざすとともに、100番台の4科目の化学関連講義において学ぶ基礎的事項を体験を通して深く学修することをめざしている。
本科目を履修することにより、次の能力を修得する。
1)実験前講義で各テーマで扱う化学の基本的事項を理解し、演習問題に解答できる。
2)化学実験を行うときに必要な、正確な測定ができる。
3)実験者および周囲に対する環境および安全に配慮した実験操作ができる。
4)実験結果を自ら検討し、その結果を論理的に説明するための明確なレポートが書ける。
吸収スペクトル、色素、再結晶、擬1次反応、反応速度定数、p-ニトロアセトアニリド、オルト・パラ配向性、指示薬、解離定数、フェーリング試験、旋光度、フラボノイド、フェノール性水酸基
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
次の手順に従い1テーマを2~3週に分けて学修する。
①各テーマで扱う物質・反応・測定法等の化学的背景および理論の説明
②演習問題の解答・提出
③実験の手順を分かり易くまとめた実験計画書の作成
④注意事項の説明、実験、終了後のTAとのディスカッション
⑤レポート作成、提出
1週目に①②③、2(~4)週目に④、3(~5)週目に⑤を行う
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 1回目に化学実験第二の進め方および注意事項、安全対策に関するオリエンテーションを行う。次に、実験器具の基本的操作についての解説を行い、本実験で使用する測定機器の取り扱いについての基礎的事項を説明する。 実験テーマは以下の6テーマであるが、クラスを分割して実施するため順序が異なる場合がある。 (a)吸収スペクトルと色 分光光度計を用いたシアニン色素分子の可視吸収スペクトルの測定 (b)1次反応速度定数 塩酸を触媒とする酢酸エチルの加水分解反応における,反応速度定数の決定 (c)p-ニトロアセトアニリドの合成 アニリンのアセチル化,ニトロ化によるp-ニトロアセトアニリドの合成 (d)分光光度計による解離定数の測定 指示薬の可視吸収スペクトルの測定、および指示薬分子の解離定数の決定 (e)糖類の化学 単糖類,二糖類,および多糖類の定性実験および加水分解中のショ糖の旋光度測定 (f)フラボノイドの化学 みかんの皮からのフラボノイド(ヘスペリジン)の抽出,定性反応 | (a)分子の色と吸収波長,共役二重結合の長さの関係を議論する。 (b)反応速度の定義を理解して、擬1次反応の反応速度定数を実験から求める。 (c)オルト・パラ配向性,保護基の役割,求電子置換反応について議論する。 (d)2つの化学種の濃度と吸光度の関係から,指示薬の酸解離定数を決定する。 (e)ショ糖の加水分解の反応速度定数を旋光度の変化から求める方法を理解する。 (f)天然物成分を抽出し,その化学的性質から抽出分子に含まれる官能基を特定する。 |
東京工業大学化学実験室編『理工系大学基礎化学実験』講談社サイエンティフィク
特に指定なし
以下の項目それぞれを評価し、その合計により成績評価を決定する。
講義・演習への出席および演習の理解度(20%)、実験への出席および実験操作(30%)、廃液処理および片付け(20%)、ディスカッションでの受け答えおよびレポート(30%)。
レポートを提出しないと、その実験を欠席したものとみなす。実験を2テーマ以上欠席すると不合格となる。
特になし