本科目は、東工大生が修士課程修了後にどのような進路を歩んでいるのかを俯瞰した上で、将来に向けてキャリアを構築していく上で必要不可欠な知見である、社会のルール、倫理、企業・大学等における資金の動き、アントレプレナーシップ等について学び、産業界やアカデミアでどのようにキャリアを構築していくかについて考える内容となっている。修士課程修了後の博士後期課程への進学と、産業界への就職を含めすべての進路に対応し、大枠から効率的に理解できる実践的な科目である。講義は中央官庁、大学、企業等で豊富な実務経験を持つ教員等が行う。
本科目のねらいは、修士課程の学生が、課程を修了した後に、社会でキャリアを構築していく際に役立つ基本的な知識やスキルを大枠で身につけることである。これらの知識やスキルは就職活動においても役立つ。修士課程修了後、将来、社会で活躍していくためには、専門課程で学んだことに加えて、「どのように生きていくのか」(How)を身につけていくことが極めて重要である。これが本学におけるキャリア教育の目的であり、本科目は、その目的のために必要な基礎的な項目を網羅的に凝縮して履修する。
本科目は、1Qに3つ(A1、A2、A3)、2Qにひとつ(B)、3Qにひとつ(C)開講する。学生自身の履修計画に合わせて履修することが望まれる。
本科目は、2021年度開講の「修士キャリアデザイン」を科目名変更している。また、2020年度までの「修士キャリアデザイン」、「修士キャリアプラン」「修士キャリアデザインⅠ」「修士キャリアデザインⅡ」との重複履修はできない。
本科目を履修することによって以下を修得する。
1)アカデミアや産業界等を経験した講師から授業を聴き、将来に多彩な進路があることが理解できる。
2)就職活動及び将来のキャリアを構築していく上で必要不可欠な知識として、世の中のルールや企業・大学等におけるお金の流れについて大枠を理解できる。
3)産学連携及びアントレプレナーシップについて理解できる。
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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中央官庁、大学、企業等で豊富な実務経験を持つ教員等が、自らの経験に基づいて将来のキャリア構築の考え方、社会の仕組み等について実践的な教育を行う。 |
アカデミア、産業界、キャリア構築、研究開発、インターンシップ、就職活動、アントレプレナーシップ
専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
授業はZOOMによりオンラインで行う。授業では講師と履修学生の間で双方向性を確保することが重要なので、履修学生はリアルタイムで参加することが原則。
パワーポイントを利用し、実例や図表を多用して理解しやすい授業を行う。また、投票機能の活用や質問時間を設けることで履修学生からも積極的な発信を求める。
毎回の授業において課題を課し、レポートの作成・提出を求める。レポートは評価に反映させるとともに、履修学生が、将来、自らのキャリアを構築していく上で読み直して参考にできる内容とする。また、提出されたレポートのなかで履修学生が共有すると参考になる内容については、後日、必要に応じて講師のコメントを付けた上でフィードバックを行う。
講師(順不同・予定)
伊東幸子 東京工業大学学生支援センター教授、副センター長、未来人材育成部門長
荻野久美子 東京工業大学学生支援センターキャリアアドバイザー
進士千尋 東京工業大学研究・産学連携本部イノベーションデザイン機構(Id機構)副機構長、特任教授
田中秀数 東京工業大学名誉教授、東京工業大学イノベーション人材養成機構特任教授
和泉 章 東京工業大学イノベーション人材養成機構特任教授
※講義順が入れ替わったり、授業内容が変更になることがある。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション 修士課程学生の終了後のキャリアパス【和泉 章】 | 修士修了後に多様なキャリアパスがあることを理解し、自分の将来のキャリアに活用できることを見い出す。 |
第2回 | 企業におけるキャリア構築【伊東幸子】 | 企業でのキャリア構築やその際の考え方について講師の経験を含め理解し、自分の将来のキャリアに活用できることを見い出す。 |
第3回 | 就職活動について【荻野久美子】 | 就職活動のスケジュール・流れ、取り組み方について理解し、自分の将来のキャリアに活用できることを見い出す。 |
第4回 | アカデミアを目指す人のキャリアデザイン【田中秀数】 | アカデミアへのキャリアパス、大学での業務を理解し、そのなかから自分の将来のキャリア構築に向けて参考になることを見出し、それに対する自らの考えを持つ。 |
第5回 | 企業、大学・研究機関におけるお金の流れの基礎知識【和泉 章】 | 企業の収益等の情報収集・分析方法や、大学・研究機関でどのようにお金が流れているか理解し、自分の将来のキャリアに活用できることを見い出す。 |
第6回 | 産学連携と大学発スタートアップ【進士千尋】 | 研究成果を社会実装するために、東工大における産学連携と起業の推進について理解し、自分の将来のキャリアに活用できることを見い出す。 |
第7回 | 法律・標準等社会・ビジネスのルール、倫理、SDGs【和泉 章】 | 社会には法律・標準をはじめ様々なルールがあり、技術と深い関係があることを理解し、自分の将来のキャリアに活用できることを見い出す。 |
市販教科書は使わない。毎回、講師が用意する講義資料を原則、事前にT2SCHOLAにアップする。
「【増補改訂】 財務3表一体理解法」 國貞克則著 朝日新聞出版 ※
「会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方」大手町のランダムウォーカー著 KADOKAWA ※
「財務3表 速攻マスター術」國貞克則著 PHP研究所 ※
「経営とお金の原則」永守重信著 日本経済新聞出版 ※
「ビジネススクールで身に着ける 会計×戦略思考」大津広一著 日本経済新聞出版 ※
「現代経済学の直観的方法」長沼 伸一郎著 講談社 ※
「もしも世界に法律がなかったら 「六法」の超基本がわかる物語」木山泰嗣著 日本実業出版社 ※
「ビジネス常識としての法律(第3版)」堀龍兒 淵邊善彦著 日経文庫 ※
「理系のための法律入門 第2版 デキる社会人に不可欠な知識と倫理」井野邊 陽著 講談社ブルーバックス ※
「標準(スタンダード)のすべて」和泉章著 経済産業調査会 ※
「キヤノン特許部隊」丸島儀一著 光文社新書 ※
「伝わるシンプル文章術」飯間 浩明著 ディスカヴァー・トゥエンティワン ※
「東大教授が教える独学勉強法」柳川 範之著 草思社 ※
「入社1年目ビジネスマナーの教科書」金森たかこ プレジデント社 ※
「最新ビジネスマナーと 今さら聞けない仕事の超基本」石川和男、宮本ゆみ子著 朝日新聞出版 ※
「コンサル1年目が学ぶこと」大石哲之著 ディスカヴァー・トゥエンティワン ※
「人生の経営」出井伸之著 小学館新書 ※
「大学で何を学ぶか」永守重信著 小学館新書 ※
「苦しかったときの話をしようか」森岡毅著 ダイヤモンド社 ※
「デキるやつは起業しろ」杉生遊著 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) ※
「最新理系就職ナビ : 「自分を活かす」進路を選ぶ! 」植島幹九郎著 講談社 ※
「理系のための就活ガイド」 山本佳世子著 丸善出版 ※
「理系女性の人生設計ガイド」 大隅典子、大島まり、山本佳世子著 講談社ブルーバックス ※
「理系のための人生設計ガイド」坪田一男著 講談社ブルーバックス ※
「海外で研究者になる」増田直紀著 中公新書 ※
「研究者としてうまくやっていくには」長谷川修司著 講談社 ※
(※)は、東工大図書館に蔵書があるか、あるいは購入依頼中。
毎回の授業で課題が出され、それに対するレポートの提出が求められる。提出期限までに提出されたレポートについて、課題に対してどれだけ深く考察され、考察の結果が十分に記述されているかについて各授業同一のウェイトで評価する。
授業は日本語で行われるので、その内容を理解できる日本語力が必要である。
レポートは、日本語でも英語でも可。
なお、英語で開講されているキャリア科目もあるので、自身の語学力に照らして適切な科目を受講することが望ましい。
この科目に対応するGA(Graduate Attributes)は、GA0M である。
修士課程の学生は、原則として修了までにGA0M及びGA1Mの両方を満たすとともに2 単位以上の単位を修得しなければならない。
したがって、本科目の単位を取得した場合にも、他にGA1Mに対応したキャリア科目(コース等で開講されているキャリア科目とみなすことができる科目を含む)を少なくとも1単位は履修することが必要である。
例えば、本科目の単位に加えて「修士キャリアデザイン演習」(対応するGAはGA0M)の単位を取得しても、GAについての要件を満たしたことにはならないので注意すること。
IIDPで開講されているキャリア科目一覧は下記URLを参照のこと。
(https://www.titech.ac.jp/student-support/students/life/career-education)