・授業研究やカリキュラム・教材の開発・評価研究などの教育実践研究では、実際の学校現場と協力して授業実践を行い、学習効果を検証する必要がある。その際、授業を担当している教員がもともと計画していた授業に支障を及ぼさないことは当然として、新たな実践を行う必然性やより高い効果が期待されることが必要である。そして、実践に協力してもらうためには、まず、それらのことを説明し、納得してもらう必要がある。そのためには、必然的に、教員の行おうとしていた授業計画を調査したり、学習者の実態や授業実施環境を把握したりして、自分の研究計画を調整する必要も生じる。以上をふまえて、教育実践研究を遂行するための方法論を扱う。
・「ゲーミング教材設計演習」で開発したゲーミング教材と,「教育工学特論」で書いた研究論文をベースとして,教育工学的な教育実践研究の方法論について、開発済みの教材を実践評価する過程を通じて、理解・習得する。また、教育実践研究に必要な倫理観を養う。
・「問題解決の縦糸・横糸モデル」を適用して,教育実践研究におけるトレードオフ問題を解決する体験をし,その過程を振り返ることで,自分の研究能力レベルを認識し,課題を発見して,改善の見通しを立てる。
・教育実践研究に必要な効果検証データの収集・分析・考察方法を実践的に応用し,その過程で指摘された問題点をふまえて,手法を活用する際の注意点やその必要性を説明できるようになる。
・教育実践研究に必要な倫理観と,それを実践するための具体的方法を理解・修得し、実行する態度を身につける。
教育実践研究、授業研究、学習科学、質的研究、授業評価、学習効果、e-portfolio、研究倫理
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
授業は、課題実施に必要な知識・方法の修得や、問題解決に必要な討論を行うことに焦点を当て、e-portfolioシステムの支援機能に基づいて、主に授業時間外に課題を遂行し、研究成果をまとめていく。よって、毎授業後、e-portfolioシステム上で作業を行い、次の授業ではその報告と討論を行ってから、その回の授業内容に進むことを原則とする。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 教育実践研究とは?~実践と研究との違い、研究上の倫理を含む | e-portfolioシステム上での作業 |
第2回 | 教育実践研究の事例分析~課題の発見と改善の方向性 | e-portfolioシステム上での作業 |
第3回 | 学校現場の見学および授業担当教員との事前相談 | e-portfolioシステム上での作業 |
第4回 | 研究計画の立案 | e-portfolioシステム上での作業 |
第5回 | 実践で想定される問題点とそれへの対処法 | e-portfolioシステム上での作業 |
第6回 | データの収集法と解析法 | e-portfolioシステム上での作業 |
第7回 | 教育実践論文のまとめ方 | e-portfolioシステム上での作業 |
第8回 | 研究成果報告会 | 発表会用のスライド作成、e-portfolioシステム上での作業 |
http://www.et.hum.titech.ac.jp/~matsuda/ETresearch/
・松田稔樹(2015) 教育実践研究能力育成に向けたe-portfolioシステムの開発, 日本教育工学会研究会報告集, JSET15-1, pp. 1-8
・Matsuda, T. (2015). An E-portfolio System to Promote Development of Gaming Instructional Materials for Cultivating Students’ Problem-solving Abilities., In Proceedings of World Conference on E-Learning, Chesapeake, VA: AACE, Vol. 2015, No. 1, pp. 961-968.
・最終発表・討論をふまえて提出された教育実践研究論文によって成績評価する。
・全ての回に参加し、e-portfolioシステム上の課題を実施することが単位認定の条件である。
・「教育実践研究者としての倫理観」については,実践現場の教員による評価等を参考にする。
・上記関連科目の単位を既に取得していること。
・教務課への履修申告の他に,下記連絡先メールアドレスに対して、8月末までに履修希望の連絡と必要事項(学籍番号、名前、所属、メールアドレス)を連絡すること。