本講義の主題は「合意形成学」である。
本講義では受講生に次の機会を提供する。
(i) 社会的選択と合意形成の違いをふまえて合意形成研究が行うべきことを把握する。
(ii) 合意形成への数理的アプローチ、および、全員一致ルールと過半数ルールの数理的な比較結果を理解する。
(iii) 実施に合意形成を体験し、その難しさと意義を検討する。
(iv) 社会の中で合意や合意形成の捉えられ方を知る。
合意や合意形成についての「理論」と「現実」に触れることで、合意や合意形成の難しさと意義についての理解を促すこと、そして、自らの理解を他者に伝える能力を涵養することが本講義のねらいである。
講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)合意とは何か、合意形成とは何かを述べる。
2)社会的選択と合意形成の違いを述べる。
3)体験した合意形成の難しさと意義を説明し、グループで意見交換する。
4)合意形成の数理的な定義を示し、全員一致ルールと過半数ルールの比較結果を述べる。
5)社会の中の合意と合意形成を説明する。
合意、合意形成、全員一致ルール、過半数ルール
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各回は、講義、グループワーク、グループディスカッションなどからなる。
毎回の授業後に、その回に学んだことを簡潔にまとめたものと、その回のテーマについて作成するレポートを提出する。
Zoomも用意しますが、受講生のみなさんが講義室にいらっしゃることを想定して授業を進める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス、自己紹介、合意とは何か・合意形成とは何か | 本講義で扱う話題を3つ以上述べる。 新しい知り合いの名前を3つ以上挙げる。 合意とは何か、合意形成とは何かを述べる。 |
第2回 | 合意形成研究が行うべきこと | 社会的選択と合意形成の違いを述べる。 |
第3回 | 合意形成の体験 | 体験した合意形成の難しさと意義を説明する。 |
第4回 | 合意形成の検討 | 体験した合意形成の難しさと意義についてグループで意見交換する。 |
第5回 | 合意形成への数理的アプローチ | 合意形成の数理的な定義をひとつ述べる。 |
第6回 | 全員一致ルールと過半数ルールの数理的比較 | 全員一致ルールと過半数ルールの比較結果を述べる。 |
第7回 | 社会の中の合意と合意形成、まとめ | 社会の中の合意と合意形成を説明する。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
指定しない。
講義資料はT2SCHOLA等により与える。
参考書:
-猪原健弘(編著), 「合意形成学」、勁草書房、2011年.(ISBN-13: 978-4326301966)
-猪原健弘, 「合意形成の数理-社会選択論からのアプローチ」, 特集「交渉と合意形成」,「知能と情報」(日本知能情報ファジー学会誌), Vol. 22, No. 3, pp.322-33, 2010.
-猪原健弘, 「合意形成の数理-表現と課題」, 特集「合意形成」, 感性工学, 日本感性工学会,第12巻, 1号, pp.275-279, 2013年8月13日.
-猪原健弘, 現代日本で求められる"合意形成学"とは, TASC MONTHLY, 公益財団法人たばこ総合研究センター, No.475, 2015.7, pp. 13-19.
毎回の授業後に提出する課題に基づいて評価を行う。
毎回の課題は、授業で学んだことの簡潔なまとめと、各回のテーマについて作成する和文800文字程度(または英文320語程度)のレポートで構成される。
このうち、授業で学んだことのまとめが4点満点、課題についてのレポートが10点満点で採点される。
全部で7回のレポートの提出機会があるので満点が14点×7回=98点となり、採点結果の合計を100点満点に換算して成績とする。
課題の提出は、授業の翌週月曜日17時。
欠席理由に関わらず、欠席した日の代替措置はない。
欠席した日の授業内容については、T2SCHOLAにアップロードされる資料で確認すること。
合意形成への興味があることが望ましい。
猪原健弘(いのはらたけひろ)教授、inostaff[at]shs.ens.titech.ac.jp
問合せをする際に、メールの件名には科⽬名「合意形成学」、メールの本⽂には学籍番号と⽒名を⼊れてください。