2024年度 文系エッセンス45:シミュレーション社会科学   Essence of Humanities and Social Sciences45:Social Sciences with Evolutionary Simulation

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開講元
文系教養科目
担当教員名
中井 豊  岡田 勇 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
-
クラス
-
科目コード
LAH.S510
単位数
1
開講年度
2024年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2024年3月14日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義の主題は「交換システム史観」である。前半は、社会的ジレンマに陥る様々な問題状況、たとえば、万人の万人に対する闘争状態やフリーライダー問題などを説明するとともに、進化ゲーム理論や進化シミュレーションの分析手法を用いて、共同体、国家、市場等の制度の出現が、これらのジレンマの解決に関連することを理論的に明らかにする。後半は未来に目を向け、共同体・国家・市場を超える様々な共助のあり方を学生諸君と議論してゆく。

講義では、問題状況を数理モデルやプログラムで定式化し、同時に、モデルにこめられた社会科学的意味を吟味する形で、言説中心の社会理論にない新しい社会理論を示す。そして、新たに生まれつつある交換社会をシステム思考で洞察する力を涵養する。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 様々な交換(1:1の一般交換、1:Nの一般交換、限定交換)におけるジレンマの解決が、共同体、ネーション(国民)、ステーツ(国家)、市場、という制度の形成と関係していることが理解できる。
2) 制度の形成が数理的なモデルやプログラムを用いて記述できることが理解できる。
3) 過去を踏まえ、新しい社会の兆しに気づき、洞察することができる。
4) 計算社会科学(データサイエンス)によって、共助社会をシステム科学的にデザインできる可能性が理解できる。

実務経験のある教員等による授業科目等

該当する 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容)
中井は、宇宙開発事業団と三菱総合研究所で20年間の実務経験を有しており、現実の社会のあり様と社会理論を対比させながら講義を進める。

キーワード

一般交換、万人の万人に対する闘争状態、フリーライダー問題、内集団びいき、略奪国家、社会的ジレンマ、進化ゲーム理論、進化シミュレーション、共同体、ネーション(国民)、ステーツ(国家)、マーケット(市場)、計算社会科学、データサイエンス

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

本講義の#1から#6までは、社会科学的な解釈とモデルの構造を連携させることを重視し、被説明対象である社会・歴史現象を具体的に説明するとともに、これを説明する数理モデルやアルゴリズムを出来る限り簡単な数学を用いて説明する。#7と#8では、現代社会の中に、共同体・国家・市場を超える交換社会の兆しを探し、未来社会を洞察してもらう。

本講義は、次の通り、対面にて集中講義の形式で行う。
(講義室:大岡山キャンパス)
2月14日(金):第1回《3-4限》、第2回《5-6限》
2月17日(月):第3回《3-4限》、第4回《5-6限》、第5回《7-8限》
2月19日(水):第6回《3-4限》、第7回《5-6限》、第8回《7-8限》

集中講義のため、3日間、すべての時間帯に出席することが履修の条件となる。
講義室(大岡山キャンパス)は決定次第、時間割表(文系教養科目)に掲載。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 共同体・国家・市場と柄谷のX~交換システム史観~(中井) 秩序形成が直面するジレンマを整理し、ソリューションとして共同体・国家・市場を説明せよ。
第2回 集団的直接互酬システム~共同体という現象~(中井) 秩序形成のソリューションとして共同体を説明せよ。
第3回 タグによる共助システム~ネーション(国民)という現象~(中井) 秩序形成のソリューションとして国民を説明せよ。
第4回 朝貢による防衛システム~ステーツ(国家)という現象~(中井) 秩序形成のソリューションとして国家を説明せよ。
第5回 市場と貨幣の創発~マネー(通貨)という現象~(岡田) 秩序形成のソリューションとして通貨を説明せよ。
第6回 市場と貨幣の創発~マーケット(市場)という現象~(岡田) 秩序形成のソリューションとして市場を説明せよ。
第7回 柄谷のXを探す~未来洞察・グループワーク~(中井・岡田) 共同体・国家・市場を超える交換社会の兆しと思われる事例を探し、将来性と課題を考察し、グループでプレゼンテーション資料にまとめよ。
第8回 未来洞察・プレゼンテーション(中井・岡田) なし

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

なし

参考書、講義資料等

講義資料はT2SCHOLAか授業中の配布により与える。
柄谷行人「世界史の構造」岩波書店

成績評価の基準及び方法

授業中のディスカッションへの参加が望まれる。また、#1-#6に対してレポート(課題A)を提出してもらう。また、#7&8のグループワークの成果物(課題B)を提出してもらう.他の受講生のグループワークの成果物に対して簡単な評価(課題C)を提出してもらう。課題A,B,Cを50%、40%、10%の重みで統合して、総合評価する。ちなみに, いづれの課題も, AIの不得意な「未知の課題発見や新しい解釈」を行う課題を出すので, AIを優秀なアシスタントとして使って欲しい.

関連する科目

  • LAH.S437 : 文系エッセンス42:合意形成学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

社会や歴史に対する興味があることが望ましい。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

中井 豊(なかい ゆたか)、nakai.yutaka0[at]gmail.com
岡田 勇(おかだ いさむ)、okada[at]soka.ac.jp

問合せをする際に、メールの件名には科⽬名、メールの本⽂には学籍番号と⽒名を⼊れてください。

その他

当講義は理学の内容を含む。

※※※3日間とも、対面授業を行う。

この科目は、修士課程500番台の文系教養科目です。
東工大では、学士から博士後期課程まで継続的に教養科目を履修する「くさび型教育」を実践しています。番台順に履修することが推奨されており、修士課程入学直後の学期(4月入学者であれば1・2Q、9月入学者であれば3・4Q)に履修申告できる文系教養科目は400番台のみです。500番台文系教養科目は、入学半年してから(4月入学者であれば入学した年の3・4Qから、9月入学者であれば入学した翌年の1・2Qから)履修可能となります。

また、集中講義は短期間での実施であり、また1日あたりのコマ数が多いため、原則公欠対応できません。各自このことを念頭に入れ、特に修了に関わる学生はリスクを十分理解した上で履修をしてください

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