2024年度 法学(憲法)A   Law (Constitutional Law) A

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開講元
文系教養科目
担当教員名
篠島 正幸 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
-
クラス
-
科目コード
LAH.S101
単位数
1
開講年度
2024年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2024年3月14日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

【概要】
Ⅰ 憲法に規定された基本的人権の保障について、法解釈や我が国の他の法律との関連性など、さまざまな視点を交えつつ学びます。
Ⅱ 法律の解釈・適用に関する基礎を学び、ケーススタディにより憲法の人権規定を実際に使うことで、法的思考力を養います。
【ねらい】
皆憲法を含む法律は、社会で実際に使われる「ツール」です。
皆さんが教育課程で学んだ憲法の知識も、実際に使うためにありますが、適切に使うには技術が必要です。
こうした技術は「法的思考」と呼ばれます。
法的思考を身に着けると、今後の皆さんの社会生活の紛争を回避・解決し、人生をより快適にすることができるでしょう。
せっかく学んだ憲法の知識です。もう少し深め、実際に使ってみることで「法的思考」の初歩を身に着けてみませんか?
本講義の狙いは次の二つです。
・我々が尊厳(誇りや自分らしさ)をもって生きていくのに不可欠な、憲法の人権規定に関する知識を深めること。
・ケーススタディなどで人権規定を実際に使う体験を通じて法的思考の基礎を学び、社会生活に役立ててもらうこと。

到達目標

憲法の全体像と基本的人権の保障規定を理解する。
人権の内容とその限界を修得する。
法の解釈の基本的な方法論を理解する。
憲法を素材として法的知識を身につけ、問題解決において法的三段論法を用いて法的見地から自分なりの答えを導き出し文書化する。

実務経験のある教員等による授業科目等

該当する 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容)
弁護士としての経験から、裁判手続で憲法や法律が使われることを想定した法的思考の方法論を説明していきます。
方法論は実践なしには身につかないため、本講義では「法的文章の作成」というアウトプットをゴールとしています。

キーワード

憲法、法律、人権、教養

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

法律初学者を想定し、前半では法律一般の考え方や憲法全体を概説します。中・後半では、人権条項に共通する総論を解説し、各論として個別の人権条項につき詳説します。
憲法の講義と並行し、法律の基本的な使い方、すなわち法的三段論法による記述方法や法解釈の方法論に関する知識を提供します。
各講義のおわりには、講義の進行に沿った課題としてケーススタディを提供します(講義中にヒントを出します)。課題を解くには憲法の知識と法律の使い方を応用して、解決に至る過程を文章で記述する必要があります。
課題の提出は義務ではなく、完璧な記述も求めませんが、期末試験に向けた訓練、そして社会に出てから役立つ技術の習得として、作成・提出をしていただくことを強くお勧めします。
是非チャレンジしてみてください。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 1 講義ガイダンス ~この講義が役に立つ理由は? 2 法概念の基本的理解~法とはどんなものか/憲法とはどんなものか/どう使うか 1 社会における法律と憲法の役割を理解する。 2 法律の使い方のイメージを知る CaseStudy:裁判を意識して法的三段論法を使ってみる。
第2回 1 憲法の基本理念を把握する ~「立憲主義」「法の支配」「国民主権」などは、単なる抽象語ではありません。 2 法解釈の導入~法における基本理念の役割はどんなものか 1 憲法の条項の背後にある基本理念について、歴史を参照しつつ理解する。 2 法律の条項と背後の理念との関係を理解する。 CaseStudy:法的三段論法になじんでみる。
第3回 1 人権総論 ~各人権に共通する解釈論。共通なので重要です。 2 法解釈の基本的知識~法解釈とはどんなものか/憲法解釈とはどんなものか 1 人権に関する条項の全体像を把握し、人権規定全体に共通する解釈論を理解する。 2 条文の解釈の一般的手法や注意点を理解する。 CaseStudy: 憲法解釈論を自分で論述してみる。
第4回 1 法の下の平等、精神的自由権の保障とその制約の理解① ~各人権規定を学び始めます。 2 個別の人権規定における憲法解釈の手法とは/三段論法における位置づけとは 1 法の下の平等、思想信条の自由や信仰の自由に関する法的議論を理解する。 2 解釈を通じた違憲審査基準の定立の手法及びその位置づけを理解する。 CaseStudy: 人権条項を解釈し違憲審査基準を導いてみる。
第5回 1 精神的自由権の保障とその制約の理解② ~憲法と言えば「表現の自由」です。 2 三段論法を用いた憲法解釈による問題解決の全体像はどんなものか 1 表現の自由に関する法的議論を理解する。 2 三段論法及び憲法解釈を使った憲法問題の解決手法のプロセス全体を把握する。 CaseStudy: 憲法解釈を使って法的紛争を解決してみる
第6回 1 経済的自由権・人身の自由・社会権の保障とその制約の理解 ~経済や社会のリアルと人権 2 各種人権規定を用いた問題解決の手法に慣れる 1 社会経済に関する各人権に関する法的議論を理解する。 2 各人権に特有な理念や解釈手法をそれぞれ理解し、法的問題の解決が可能となるよう概念を整理する。 CaseStudy: 憲法解釈を使って各人権に関する法的紛争を解決してみる。
第7回 1 国務請求権、参政権の理解。新しい人権の概要と考え方 ~人権を実効化するための人権 2 社会生活に役立つ法的思考の応用とは 1 各人権に関する法的議論を理解する。 2 期末テストに向けて準備をする
第8回 総括と試験(対面授業の場合)

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,配布資料を参照しつつ事前に教科書の該当箇所を読んでおくことをお勧めします。また、復習の際には、学習した法的な手法を用いてケーススタディに文章で回答することが最も効果的です。
なお、教科書の内容を理解しただけでは法律やリーガルマインドを理解したことにはならないので注意が必要。

教科書

【講義内容に相当する部分を事前に読んでください。】
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第八版)』(2023年、岩波書店)

参考書、講義資料等

【初学者】
池上彰監修・門脇正法原作・潜木ひろ作画「マンガ僕たちの日本国憲法」(2019年、集英社)
【学習を深めたい方】
片桐直人ほか『一歩先への憲法入門』〔第2版〕(2021年、有斐閣)
棟居快行ほか『基本的人権の事件簿・憲法の世界へ(第7版)』(2024年、有斐閣選書)

成績評価の基準及び方法

対面講義の場合は期末試験。ウェブ講義の場合は期末レポート。
いずれにおいても各講義で提供されるケーススタディへの回答は若干の加点事由となります。
※オンライン講義の場合、8回目の講義はありません。

関連する科目

  • LAH.S201 : 法学(憲法)B
  • LAH.S301 : 法学(憲法)C
  • LAH.S102 : 法学(民事法)A

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

憲法や法律に興味がある人であれば誰でも歓迎します。
また、文章を合理的かつ効率的に作成したい方、文章を書く訓練をしたい方にもお勧めします。

その他

日本国憲法は、政治の世界で話題となりがちですが、他の法律と同じように我々の社会生活を規律するルールです。憲法の役割や使い方を知ることは、法律的な考え方の基礎を育むことにもなりますので、一度学んでみてください。
また、法律的に考え、その思考のプロセスを文章として表現することは、これからの社会生活にも、学問探求にも役に立ちますので、是非チャレンジしてください。
繰り返しになりますが、講義に参加しないと法的論証が一定の水準に達しない可能性が高いため、注意してください。

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