水俣病事件は「科学技術と倫理」「自然と人間の関係」「責任と許し」といった根源的な問題を内包している。1956年に発足した熊本大学水俣病研究班は、チッソの工場廃液の重金属を疑い、1959年7月、有機水銀中毒説を発表した。これに対し、同年11月、清浦雷作(東京工業大学教授)は水銀説を否定する研究報告を発表し、厚生省もこれに追随した。結果、水俣病の原因究明は遅れることとなり、被害を拡大させた。胎児性水俣病の存在が確認されたのは1960年である。
東京工業大学として、水俣病と正面から向き合うことは重要な意味がある。科学者として活躍が期待される学生とともに、水俣病事件の本質を考え、利他的な技術のあり方を模索したい。
まずは水俣病事件についての基礎的な知識を身につけること。科学技術のあり方について、根源的な問いを発し、主体的に取り組む姿勢を身につけること。科学技術の進歩がもつ豊饒な可能性とその暴力性を共に理解し、問題の解決に取りくむことができること。
水俣病、公害、科学技術、利他
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
【授業形態】
ZOOMで行う。前半60分は講義、後半40分はディスカッションとする。初回(第1回)、最終回(第7回)は、磯崎、中島が授業を担当する。第2回~第6回はゲストの方にお話しいただき、水俣病問題を専門的・多角的に捉える視座を獲得する。ゲストスピーカーについては、初回の授業で発表する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 10月4日(水):ガイダンス | 水俣病について理解し、議論を深めること |
第2回 | 10月11日(水):ゲスト 米本浩二さん | 水俣病について理解し、議論を深めること |
第3回 | 10月18日(水):ゲスト 高峰武さん | 水俣病について理解し、議論を深めること |
第4回 | 10月25日(水):ゲスト 胎児性患者さん+加藤タケ子さん | 水俣病について理解し、議論を深めること |
第5回 | 11月1日(水):ゲスト 下田健太郎さん | 水俣病について理解し、議論を深めること |
第6回 | 11月8日(水):ゲスト 緒方正実さん | 水俣病について理解し、議論を深めること |
第7回 | 11月15日(水)/まとめ | 水俣病について理解し、議論を深めること |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし
授業の中で提示する
授業における議論・コメントと学期末のレポートによって評価する。
特になし
tnakajima[at]ila.titech.ac.jp(中島岳志メール)