学術研究の世界では、研究者同士で論文を読みあい、論文の価値の評価や改善のための指摘を行う査読(ピアレビュー)が行われる。
本講義では、このような査読を行うためのベースとなる学術的文章技術/アカデミック・ライティングの基礎知識を学ぶとともに、建設的な対話によって書き手の文章を改善する能力であるチュータリングのスキルを獲得することをねらいとする。授業では、アカデミック・ライティングおよびチュータリングの基礎知識を学修すると共に、学士課程の授業「教養卒論」履修者を対象にピアレビューを繰り返し実践する機会も設ける。他者の論文執筆の支援を行うスキルを身につけることで、ピアレヴュアーは翻って自分が書く文章の読みやすさ・伝わりやすさについても診断できるようになり、思考を整理して文章を書く能力を体得できる。さらに、これらの能力は、将来の研究活動やチームで仕事を行う際、相手の能力を引き出すためのスキルとしても、大きな効果を発揮するであろう。
★過去の受講生の声★
https://www.gsa.citl.titech.ac.jp/voice
本講義では、以下の能力を獲得することを目標とする。
・アカデミック・ライティングの知識に基づき、文章の問題点を見抜くことができる。
・自ら文章の問題点を突き止めて書き直しを行える「自立した書き手」が育つよう、対話を通じて支援することができる。
・自分自身のが書く文章の読みやすさ・伝わりやすさについて診断し、思考を整理して文章を書くことができる。
ピアレビュー、アカデミック・ライティング、文章チュータリング、支援型リーダーシップ、批判的思考
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
前半ではピアレビューの適切な方法を修得する。実戦の場として、「教養卒論」クラスに参加してピアレヴューを行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 学術的文章技術(パラグラフ・ライティング)、ピアレビュー導入 | 段落の書き方を理解し、ピアレヴューでの対話方法を学ぶ |
第2回 | 学術的文章技術(構成/序論) 、ピアレビュー訓練 | パラグラフライティングを復習し、文章構成(特に序論)について学ぶ。これらを応用したピアレヴューでの対話方法を学ぶ |
第3回 | 学術的文章技術(ブロック引用)、ピアレビュー訓練 | 構成/序論の書き方を復習し、引用の技術(特にブロック引用)について学ぶ。これらを応用したピアレヴューでの対話方法を学ぶ。 |
第4回 | 教養卒論クラスにてピアレビュー実践 (1) | 「教養卒論」クラスでピアレビューを実践して振り返る |
第5回 | 教養卒論クラスにてピアレビュー実践 (2) | 「教養卒論」クラスでピアレビューを実践して振り返る |
第6回 | 「教養卒論」クラスでの振り返り、非リアルタイム・ピアレヴューの訓練 | 「教養卒論」クラスで執筆された文章数本に対してコメントを書いて送信 |
第7回 | ピアレビュー実践、および全体の振り返り | これまでのピアレヴュー技術を振り返り、己の技能として定着させる。 |
学修効果を上げるため、教科書や配布資料等の該当箇所を参照し、授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
戸田山 和久、『最新版 論文の教室: レポートから卒論まで』、NHK出版、2022
佐渡島紗織,太田裕子(編)『文章チュータリングの理念と実践』、ひつじ書房、2013
木下是雄、『理科系の作文技術』、中公新書、1981
ケイト・L・トゥラビアン (著) 『シカゴ・スタイル 研究論文執筆マニュアル 』、慶應義塾大学出版会、2012
佐渡島紗織、吉野亜矢子(著)『これから研究を書くひとのためのガイドブック』、ひつじ書房、2021(第2版)
コミットメント点70点(授業参加、課題、ピアレヴューの振り返り)、最終レポート30点(必須)。なお、2回以上欠席すると単位は取得できない。
「リーダーシップ道場」を80点以上で履修済みのこと。
担当教員のメールアドレスは授業開始前にT2SCHOLAに提示されます。
メールで予約のこと。
本授業はGSA (Graduate Student Assistant)プログラムの対象科目である。
80点以上で履修すると、教育革新センターよりGSA-R (レビューアー)の認定証が授与される。