2023年度 社会モデリングB   Social Modeling B

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
文系教養科目
担当教員名
加藤 有紀子 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(M-356(H132))  木1-2(M-356(H132))  
クラス
-
科目コード
LAH.T209
単位数
2
開講年度
2023年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2023年10月31日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

本講義では、社会的な対象である「複数の合理的な主体や提携による 意思決定」をコンフリクト解決のためのグラフモデル(Graph Model for Conflict Resolition: GMCR)の数理的枠組みを使って表現・分析する方法を取り扱う。
使用言語は日本語であり、毎回の授業はディスカッション、 グループワーク、演習、講義などで構成される。
本講義では特に、 GMCRを用いたコンフリクトの表現方法と、合理分析・効率分析・提携分析・ 態度分析などの分析方法を取り上げる。
GMCRの数理的枠組みの表現方法と分析方法の柔軟性と有効性を理解し、社会的な問題をモデル化し、分析する方法を身につけることをねらいとする。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。複数の意思主体が関係する意思決定状況を対象として、
1) 社会の問題を数理モデルで表現し、分析することの有効性について述べることができる。
2) 数理モデルで記述された対象の例を用いて、そこで使われている数理モデルの定義を述べることができる。
3) 数理モデルで記述された対象の例を分析して、その結果を他者に伝えることができる。
4) 扱いたい対象を適切な数理モデルを用いて記述することができる。
5) 数理モデルで表現された対象を分析し、その結果を他者に伝えることができる。

実務経験のある教員等による授業科目等

該当する 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容)
複数の会社経営経験から適用事例を紹介し、本講義で学習する数理モデルを実際の社会における意思決定状況で適用し、問題解決の1つの手段とできるような内容を含む。

キーワード

コンフリクト解決のためのグラフモデル(Graph Model for Conflict Resolution: GMCR); 合理分析; 提携分析; 態度分析; 効率分析(パレート最適性); 許容分析; 安定性; 均衡; Nash; GMR; SMR; SEQ; 移動; 改善; 制裁; 脱出;

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

基本概念の定義と分析⽅法についての講義が⾏われる。その後、受講⽣が個人またはグループで講義内容について検討し、演習に取り組む。そして、授業後に、個⼈の考察や他の受講⽣の考え、講義、演習を通じて学んだことを、受講⽣それぞれが「サマリー・レポート」に書いて提出する。また取り組んだ演習の解答を提出する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 ガイダンス、数理モデルによる社会の分析 数理モデルによる社会問題の分析のうち、グラフモデルを用いることが適している状況とはどんなものか。また理由について述べよ。
第2回 社会モデリングの基本概念:選好、合理性、効率性、論理と集合 社会モデリングの基本概念について重要なものについて述べよ。
第3回 標準形ゲームの枠組みと分析 標準形ゲームの枠組みについて述べよ。
第4回 標準形ゲームの応用 標準形ゲームを用いた分析事例を挙げ、説明せよ。
第5回 グラフモデルによるコンフリクト分析-1-1:状態・選好・状態遷移・標準形ゲームとの関係 コンフリクトのグラフモデルの定義を述べよ。
第6回 グラフモデルによるコンフリクト分析-1-2:安定性分析 コンフリクトのグラフモデルの主要な安定性概念の定義を述べよ。
第7回 グラフモデルによるコンフリクト分析-1-3 : 適用事例 グラフモデルを用いた分析事例を挙げ、説明せよ。
第8回 総合演習-1 第1回〜第7回までの内容をもとにしたモデル化と分析 コンフリクトのグラフモデルを用い、社会の問題をモデル化・分析し、発表せよ。
第9回 グラフモデルによるコンフリクト分析-2-1:提携分析 コンフリクトのグラフモデルの提携分析の定義を述べよ。
第10回 グラフモデルによるコンフリクト分析-2-2:提携分析-適用事例 提携分析の事例を挙げ、説明せよ。
第11回 グラフモデルによるコンフリクト分析-2-3 : 許容分析・態度分析 コンフリクトのグラフモデルの許容分析および態度分析の定義を述べよ。
第12回 社会システム分析のためのグラフモデル グラフモデルを用いた社会システム分析の事例を1つ示せ。
第13回 社会システム分析のためのグラフモデル-応用事例 グラフモデルを用いた社会システム分析の事例を示せ。
第14回 総合演習-2 本講義で取り上げた枠組みを用いた演習 コンフリクトのグラフモデルの概念を用い、社会の問題をモデル化・分析し、発表せよ。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

特になし

参考書、講義資料等

講義資料は必要に応じてT2SCHOLA等により与える。
[主な参考書・参考資料]
1. 猪原健弘, コンフリクト解決のためのグラフモデル - GMCR: The Graph Model for Conflict Resolution, オペレーションズ・リサーチ 経営の科学 特集, Vol.58, No.4, pp. 204 -211, April 1, 2013.
2.猪原健弘,『合理性と柔軟性』,勁草書房, 2002年,ISBN:978-4-326-50222-6.
3.猪原健弘,『感情と認識』,勁草書房, 2002年,ISBN:978-4326502233.
4.猪原健弘, 『入門 GMCRーコンフリクト解決のためのグラフモデル』, 2023年, ISBN: 978-4-326-50498-5
5. T. Inohara, Relational dominant strategy equilibrium as a generalization of dominant strategy equilibrium in terms of a social psychological aspect of decision making, European Journal of Operational Research, Vol.182, No.2, pp.856-866, October, 2007.
6. T. Inohara, Relational Nash equilibrium and interrelationships among relational and rational equilibrium concepts, Applied Mathematics and Computation, Vol.199, No.2, pp.704-715, June, 2008.
7. T. Inohara and K. W. Hipel, Coalition analysis in the graph model for conflict resolution, Systems Engineering, Vol.11, No.4, 343-359, 2008.
8. T. Inohara and K. W. Hipel, Interrelationships among noncooperative and coalition stability concepts, Journal of Systems Science and Systems Engineering, Vol.17, No.1, pp.1-29, March, 2008.
9. T. Inohara, Keith W. Hipel, and S. Walker, Conflict analysis approaches for investigating attitudes and misperceptions in the War of 1812, Journal of Systems Science and Systems Engineering, Vol.16, No.2, pp.181-201, June, 2007.
10. Y. Kato, “Binary Processing of Permissible Range in Graph Model of Conflict Resolution,” in 2021 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC), 2021, pp. 685–690.

成績評価の基準及び方法

成績評価は、毎回の授業の「サマリー・レポート」(学んだことの簡潔なまとめ)(合計42%)と演習課題(3回実施)の解答(合計30%)、及び総合演習(2回実施)における課題発表 (合計28%)に基づいて⾏う。

⽋席理由に関わらず、⽋席した⽇の代替措置はない。
⽋席した⽇の授業内容については、T2SCHOLA等で提供される資料で確認すること。

関連する科目

  • LAH.T107 : 社会モデリングA
  • LAH.T308 : 社会モデリングC
  • LAH.T108 : 意思決定論A
  • LAH.T208 : 意思決定論B
  • LAH.T307 : 意思決定論C

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特に条件を設けないが、社会における意思決定状況の分析への興味があることが望ましい。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

加藤 有紀子(かとう ゆきこ) kato.y.bj[at]m.titech.ac.,jp
問合せをする際に、メールの件名には科目名、メールの本⽂には学籍番号と氏名を⼊れてください。

オフィスアワー

電子メールにてアポイントメントを取ること。

その他

当講義は理学の内容からなる。

このページのトップへ