2023年度 法学(憲法)A   Law (Constitutional Law) A

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
文系教養科目
担当教員名
篠島 正幸 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月5-6(S2-202(S223))  
クラス
-
科目コード
LAH.S101
単位数
1
開講年度
2023年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2023年8月8日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

【概要】
Ⅰ 日本国憲法の全体像を俯瞰した上、基本的人権の保障に関する規定に関する知識と理解を深めます。
Ⅱ 法律の解釈適用に関する基礎を学び、ケーススタディにより憲法の人権規定を実際に使うことで、法的思考力を養います。
【ねらい】
我が国の憲法については、皆さんもこれまでの教育課程で一定の知識を身に着けていることでしょう。しかしながら、憲法を含む法律は、社会で実際に使われているツールであり、正しい方法で使わなければ役に立ちません。せっかく身につけた知識を、実際に使ってみましょう。
本講義の狙いは次の二つです。我々が一人の人間として尊厳をもって生きていくために不可欠な憲法の人権規定に関する知識を深めること、ケーススタディを通じて人権規定を実際に使ってみることで、法的な思考を体験してもらい、これからの社会生活に役立ててもらうこと。

到達目標

憲法の全体構造と基本的人権保障規定の位置づけを把握すること。
基本的人権の種類や内容、その限界に関する知識を身につけ、人権に関する法解釈の手法の基礎を理解すること。
憲法を素材として法律的素養を身につけ、問題解決にあたって法的三段論法を用いるなどして法的視点から自分なりの回答を導き出し、文書化すること。

実務経験のある教員等による授業科目等

該当する 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容)
弁護士としての経験から、裁判手続で憲法や法律が使われることを想定した法的思考の方法論を説明していきます。

キーワード

憲法、法律、人権、教養

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

 法律初学者を想定し、前半では法律一般の考え方や憲法全体を概説します。中・後半では、人権条項に共通する総論を解説し、各論として個別の人権条項につき詳説します。
 憲法の講義と並行して、法律の基本的な使い方として、法的三段論法による記述方法や法解釈の方法論に関する知識を提供します。
 各講義のおわりには、課題としてケーススタディを提供します(講義中にヒントを出します)。課題を解くには憲法の知識と法律の使い方を応用して、解決に至る過程を文書化することが求められます。課題の提出は義務ではありませんが、期末試験に向けた訓練として提出を強く推奨します。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 1 講義ガイダンス 2 法とはどんなものか 憲法とはどんなものか(どう使うのか) 1 社会における法律と憲法の役割を理解する。 2 裁判を意識して法的三段論法を使ってみる。
第2回 憲法の基本理念を把握する-人権を支える立憲主義、法の支配、国民主権や統治構造 1 憲法の条項の背後にある理念について、憲法の理念が形成された歴史を参照しつつ理解する。 2 法的三段論法に慣れてみる。
第3回 1 人権規定の全体像を把握するー人権の適用範囲、類型及び違憲審査基準に関する概念理解 2 法解釈とはどんなものか 憲法解釈とはどんなものか 1 人権に関する条文を通読、人権規定全体に共通する議論を理解する。 2 人権条項を使って条文を解釈してみる。
第4回 1 法の下の平等、精神的自由権の保障とその制約の理解① 2 個別の人権規定における憲法解釈の手法とは 1 法の下の平等、思想信条の自由や信仰の自由に関する法的議論を理解する。 2 憲法解釈を文書化してみる。可能なら三段論法を使ってみる。
第5回 1 精神的自由権の保障とその制約の理解② 2 三段論法を用いた憲法解釈による問題解決の全体像を把握する 1 表現の自由に関する法的議論を理解する。 2 憲法解釈を使い法的問題を解決してみる。
第6回 1 経済的自由権・人身の自由・社会権の保障とその制約の理解 2 各種人権規定を用いた問題解決のドキュメンテーションに慣れる 1 各人権に関する法的議論を理解する。 2 憲法解釈による問題解決を文書化してみる
第7回 1 国務請求権、参政権の理解。新しい人権の概要と考え方 2 法的思考の応用とは 1 各人権に関する法的議論を理解する。 2 期末テストに向けて準備をする
第8回 試験(対面授業の場合)

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,配布資料を参照しつつ事前に教科書の該当箇所を読んでおくことをお勧めします。また、復習の際には、学習した法的な手法を用いてケーススタディに文章で回答することが最も効果的です。
なお、教科書の内容を理解しただけでは法律やリーガルマインドを理解したことにはならないので注意が必要。

教科書

【講義内容に相当する部分を事前に読んでください。】
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第八版)』(2023年、岩波書店)

参考書、講義資料等

【初学者】
池上彰監修・門脇正法原作・潜木ひろ作画「マンガ僕たちの日本国憲法」(2019年、集英社)
【学習を深めたい方】
片桐直人ほか『一歩先への憲法入門』〔第2版〕(2021年、有斐閣)
棟居快行ほか『基本的人権の事件簿・憲法の世界へ(第6版)』(2019年、有斐閣選書)

成績評価の基準及び方法

対面講義の場合は期末試験。ウェブ講義の場合は期末レポート。
いずれにおいても各講義で提供されるケーススタディへの回答は若干の加点事由となります。
※オンライン講義の場合、8回目の講義はありません。

関連する科目

  • LAH.S201 : 法学(憲法)B
  • LAH.S301 : 法学(憲法)C
  • LAH.S102 : 法学(民事法)A

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

憲法や法律に興味がある人であれば誰でも歓迎します。
また、文章を合理的かつ効率的に作成したい方、文章を書く訓練をしたい方にもお勧めします。

その他

日本国憲法は、政治の世界で話題となりがちですが、他の法律と同じように我々の社会生活を規律するルールです。憲法の役割や使い方を知ることは、法律的な考え方の基礎を育むことにもなりますので、一度学んでみてください。
また、法律的に考え、その思考のプロセスを文章として表現することは、これからの社会生活にも、学問探求にも間違いなく役に立ちますので、是非チャレンジしてください。
繰り返しになりますが、講義に参加しないと法的論証が一定の水準に達しない可能性が高いため、注意してください。

このページのトップへ