この授業では、ジェンダー・セクシュアリティに関する基礎的な概念や理論を学ぶとともに、わたしたちの身体や欲望、生と切り離すことのできない様々な規範の構造を問い直す視座を身につける。クィア理論という学問領域が、どのような社会的背景から、どのようなテーマを、どのような視点によって論じてきたかを包括的に学修することを通じて、現代のジェンダーやセクシュアリティをめぐる議論を適切に理解できるようになることを目的とする。
1. ジェンダー・セクシュアリティに関する議論を適切に理解する上で必要となる、基本的な用語や概念、トピックを理解する。
2. ジェンダーやセクシュアリティについて議論を行う際に不可欠な基本姿勢と批評的アプローチを身につける。
3. クィア理論の視座を適切に用いて、ジェンダー・セクシュアリティをめぐる現在の社会的・文化的事象について批判的に分析・考察することができるようになる。
ジェンダー、セクシュアリティ、フェミニズム、クィア理論、ディスアビリティ・スタディーズ
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義形式で進めます。履修生の人数によって、グループディスカッションを行う可能性があります。
毎回、コメントの提出が必要となります。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | イントロダクション:ジェンダー、セクシュアリティ、身体 | ジェンダーとセクシュアリティの概念について学び、この授業の基本的な姿勢を理解します。 |
第2回 | クィア理論がめざしたもの:AIDS危機、インターセクショナリティ、反抗性 | クィア理論創成期の社会的・学術的背景について学びます。 |
第3回 | クローゼットとカミングアウト | イヴ・K・セジウィックのクローゼット論を学びます。 |
第4回 | ジェンダーのパフォーマティヴィティ | ジュディス・バトラーのジェンダー論を学びます。 |
第5回 | トランスジェンダーと(不)可視性 | トランスジェンダー・スタディーズの視座を学びます。(※中間レポートを提出します。) |
第6回 | 新自由主義と新しいホモノーマティヴィティ | 新自由主義と「LGBT主流化」の政治について学びます。 |
第7回 | クィア理論とディスアビリティ・スタディーズの出会い | 異性愛規範と健常主義の交差性について学びます。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
なし
河口和也, 『クィア・スタディーズ(思考のフロンティア)』岩波書店, 2003.
菊地夏野・堀江有里・飯野由里子編著『クィア・スタディーズを開く1』晃洋書房, 2019.
サラ・サリー, 竹村和子訳『ジュディス・バトラー(現代思想ガイドブック)』青土社, 2005.
ゲイル・サラモン, 藤高和輝訳『身体を引き受ける—トランスジェンダーと物質性のレトリック』以文社, 2019.
中間レポート 20%
コメント 30%(5%×6回)
最終レポート 50%
※全授業への出席が原則である。3分の2以上の出席がみとめられない場合、不合格とする。
・ 履修条件は特に設けないが、関連する科目を履修していることが望ましい。
・ 意図的に差別発言を繰り返す・嫌がらせを行うなどの悪質な言動を、講師の警告を受けてもなお続ける受講者がいた場合、退室を求める、あるいは授業への出席を認めない可能性がある。その場合、授業の単位は与えられない。
・ 履修者の人数などに応じて授業内容や進度、成績評価の割合が多少変更される可能性がある。履修希望者は必ず初回授業に出席すること。