この講義では、近年注目を集める「アートと人類学」の議論を土台としながら、その問題系を検討します。ただし、アートや人類学それ自体を扱うのではなく、とくに「映像・ことば・音楽」といった営みに注目し、世界各地の例をとりあげて検討していきます。この作業を通して、文化人類学の立場から「アート」や「感覚」をとらえなおし、新しい文化人類学的思考を体得することが講義の目的です。
講義では、高度に抽象的な議論も含まれますが、多くのケーススタディを盛り込む予定です。この授業を契機に、自分の想像できる世界の幅を広げて下さい。(以上の内容から文化人類学の通史を学習するような講義ではありませんので、注意してください。)
①文化人類学の基本的な考え方を体得する
②「感覚」や「感性」に関する新たな視座を獲得する(「感じる=思考する」など)
アートの人類学、映像、ことば、音楽、感覚、経験、みる・よむ・きく
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
1つのテーマに対して3回程度の講義を行い、その間にいくつかの課題に取り組む。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション:人類学的思考の概説 | 人類学の問題系について理解する |
第2回 | アートと人類学① | バリのトランス儀礼やバリ・アートを例に、アート・感性・人類学をめぐる論考を学ぶ |
第3回 | アートと人類学② | オセアニアの仮面を例に、アート・感性・人類学をめぐる論考を学ぶ |
第4回 | アートと人類学③ | シュルレアリスムの作品を例に、アート・感性・人類学をめぐる議論をとらえなおす |
第5回 | 映像と「みること」① | M・マクルーハンほかのメディア論から、SF作品について検討する |
第6回 | 映像と「みること」② | M・ハイデガーほか哲学者による感性論から、映画≪リュミエール!≫ほかドキュメンタリー映像について分析する |
第7回 | 映像と「みること」③ (中間テスト) | 映像≪リヴァイアサン≫ほかシネ・アンスロポロジーの作品を例に、映像について再考する |
第8回 | ことばと「よむこと」① | W・オングの「声の文化と文字の文化」から、叙事詩をめぐる近年の様々なパフォーマンスについて検討する |
第9回 | ことばと「よむこと」② | E・ハヴロックの論考および叙事詩≪オデュッセイア≫について学ぶ |
第10回 | ことばと「よむこと」③ | 映画≪薔薇の名前≫を例に、記号論・ことば・よむことについて再考する |
第11回 | 音楽と「きくこと」① | M・シェーファーの「サウンドスケープ」に関するパフォーマンス映像などから、音響に対するを学ぶ |
第12回 | 音楽と「きくこと」② | J・ケージの音楽と「きのこ的生活」について学ぶ |
第13回 | 音楽と「きくこと」③ | 映像≪Touch the sound≫を例に、音をめぐる感性・聴覚文化論について再考する |
第14回 | 総括 | アート・感性・人類学というテーマに関する自身の意見を表明できるようになる |
第15回 | 期末テスト | 講義で学んだ成果を確認する |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特定の教科書は使用しない
以下の文献を扱いますが、必要な箇所は授業中に紹介します
Morphy, Howard and Morgan Perkins, eds. (2006) "The Anthropology of Art: A Reader". Malden, MA: Blackwell Publishing.
出席25% 授業内課題25% 中間・期末テスト50%
ただし、出席が2/3に満たない受講者は期末テストの受験資格がありません
***8月追記***
この科目は15回目として、
期末試験・補講期間中の2月7日にオンライン試験を実施します。
前後の時間帯に対面の試験・補講がある場合には、安全に受験/受講できる時間を自分で選択できます。
事前に身に付けているべき知識や技術はありませんが、授業内容と自身の関心を結びつけて、積極的に参加すること。