本講義は、20世紀美術を中心にした美術作品を鑑賞します。美術作品には、作家の考えだけではなく、時代背景や脈々と続く美術史の大きな流れが渦巻いています。しかし同時に、作品は鑑賞者一人ひとりが対峙することで、初めて存在意義をもつものでもあります。本講義では、みなさんで意見を交わしながら、そうした鑑賞体験を共有していきます。
本講義のねらいは、パブロ・ピカソのキュビスム、現代美術の父とされるマルセル・デュシャンのレディメイド、アンディ・ウォーホルのポップ・アートなどの作品群を追い、自身の言葉で美術についての考えを深めていけるようになることです。美術作品を鑑賞し解釈する体験は、みなさんの思考や論理性に対して大きな刺激を与えるものとなるはずです。そして、鑑賞の訓練をつむことで、自身の考えを説得的に伝えるコミュニケーション力を身につけることができます。
本講義を履修することによって以下の能力を修得します。
1)作品に対する感覚的な印象を、言葉で表現することができる
2)美術の概念や理論について知り、作品を多角的にとらえることができる
3)20世紀美術の歴史的な流れを当時の文化的社会的背景を含めて説明することができる
アート、芸術、西洋美術、美術史、ピカソ、デュシャン、ウォーホル
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
美術作品を比較しながら、概念や理論についての講義を行い、適宜グループディスカッションを行います。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 授業ガイダンスー作品への向き合い方 | 多様な視点で作品を見ることができるようになる |
第2回 | アヴァンギャルドと美術批評 | 美術の流れとそれを語る言葉の関係について説明できるようになる |
第3回 | 印象主義とポスト印象主義 | 印象主義とポスト印象主義について説明できるようになる |
第4回 | キュビスムー絵画空間と非ユークリッド幾何学 | キュビスムの時代背景を説明できるようになる |
第5回 | 抽象画ー無対象の世界 | 抽象画と具象画の違いを説明できるようになる |
第6回 | マルセル・デュシャン(1)ー運動と四次元 | 時代背景とともに、一人の芸術家の考えを理解できるようになる |
第7回 | マルセル・デュシャン(2)ーレディメイド | 美術史におけるレディメイドの影響を説明できるようになる |
第8回 | マルセル・デュシャン(3)ー芸術とチェス | 美術と美術以外の領域の関係について説明できるようになる |
第9回 | ダダとシュルレアリスム | ダダとシュルレアリスムを当時の社会状況との関係から説明できるようになる |
第10回 | 抽象表現主義 | 「最初のアメリカのアート」としての抽象表現主義の位置づけを説明できるようになる |
第11回 | ミニマル・アート | ミニマル・アートの表現について説明できるようになる |
第12回 | ポップ・アート | ポップ・アートの表現について説明できるようになる |
第13回 | コンセプチュアル・アート | コンセプチュアル・アートの表現について説明できるようになる |
第14回 | 現代の表現 | 現代アートの表現を分析できるようになる |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
主体的な鑑賞を重視するため、教科書は指定しない。
中尾拓哉『マルセル・デュシャンとチェス』平凡社、2017年。授業で扱う作品の画像は、事前にOCW-iにアップする。
授業で行うグループワーク:(30%)
授業を通して修得した鑑賞力と知識を使って、芸術家や作品についてのレポート:70%
事前に身につけているべき知識や技術はない。