もともと互いに独立していた科学と技術が歴史とともに融合していくプロセスを議論し、科学技術の特質を明らかにする。また、20世紀の産業社会がどのように歴史的に形成されたかを知ることで、21世紀の科学技術のあるべき姿を考えるための基礎を得る。
1) 科学、技術、科学技術という言葉の違いについての概要を自分の言葉で述べられるようにする。
2) 科学技術の歴史がどのように展開してきたのか,その流れをイメージできるようになること。
3) 科学技術が社会の中でどのように作動しているのか、そのおおよそのしくみを理解できるようになること
科学、技術、科学技術、科学革命、産業革命、第二次産業革命、企業内研究所、アメリカンシステム、フォードシステム
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
授業の最初に前回のコメントシートでの疑問等を説明し、これに続いて講義を行う。質疑の後、コメントシートの作成を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | オリエンテーションとイントロダクション | この科目を登録するかの決定、 「科学」「技術」「科学技術」の簡単な定義と由来 |
第2回 | 古代ギリシャ・ローマの科学と技術 | 古代ギリシャ人による自然現象の探求と、古代ローマ人の実用重視の傾向を理解する。 |
第3回 | 中世の科学・技術(主に中世前半) | 西欧における農業生産の拡大、都市の発達、イスラムの科学・技術、12世紀ルネサンス、などを例に文明と科学・技術の関係を理解する。 |
第4回 | 中世の科学・技術(主に中世後半) | 火薬、鉄砲、製紙、活版印刷など、今日にも影響を与えている諸技術について、その発明と発達の様子を見る。 |
第5回 | 科学革命への先駆け― 地動説の発達 | 地動説の発達を支えた観測技術、および研究者たちの異様な努力を知る。 |
第6回 | 科学革命と科学の制度化 | 英国王立協会や仏科学アカデミーなど科学の制度化とその思想的背景を理解する。また、ニュートンによる力学の確立を簡単にふりかえる。 |
第7回 | 産業革命の始まり | 産業革命の発端が、蒸気機関の導入ではなく、木綿工業における生産性の飛躍的向上であることを理解する。 |
第8回 | 産業革命の他部門への波及 | 木綿工業における紡績・織布工程の生産革命が、他の部門動力(蒸気機関)、漂白剤、製鉄業、鉄道、工作機械、など)の発達を促進した経緯を理解する。 |
第9回 | 産業革命のイギリス以外の国々への波及 | 産業革命が仏・独・米・日などへの国々へ波及していく過程を追い、産業革命と国家形成が共進化する様子を把握する。 |
第10回 | 科学の専門職業化 | 研究・教育で生計をたてることのできる科学者が大量に出現した経緯を、独・仏・米・日本における大学や高等教育機関の整備と併わせて理解する。 |
第11回 | 第二次産業革命 | 科学知識をベースとするに産業革命の特徴を理解する。 |
第12回 | 戦争と科学・技術 | 二つの世界大戦における科学者・技術者の動員体制の形成と権益化の様子を見る。 |
第13回 | 大量生産方式 | アメリカンシステム、科学的管理方法、フォードとGMの生産方式、トヨタのカンバン方式、全自動無人工場など、大量生産の過去の具体例を学び、未来の生産方式を考える際の基礎とする。 |
第14回 | イノベーションのリニアモデルとノンリニアモデル | 第二次世界大戦後に定着した科学やイノベーションのリニアモデルと、それが見直されていった過程について理解を深める。 |
第15回 | まとめ | 授業内容を振り返り、科学と技術の歴史の流れを大まかにとらえる。 |
中島秀人(2008)『社会の中の科学』、日本放送出版協会。(但し必ずしも購入しなくてよい)
毎回スライドを用いて説明を行うが、そのレジュメを配布する。また、参考文献については、授業中に適宜、関連する文献を紹介する。
期末試験50%、中間レポート20%、授業の終わりに作成するコメントシート30%
高校の世界史の基本知識