表象文化論とは、美術史や哲学、文学や人類学など個別の専門領域を横断しながら「表象」としての文化現象を捉え返す、脱領域的な学問である。本講義では、「見ること」に深く関わる近代以降の文化について、テーマごとに考えてみたい。具体的には、「崇高」という美学的カテゴリーから精神史としての「マニエリスム」、東西の建築様式から造園術、博覧会からディズニーランド、身体の文化史からハリウッドのセレブリティ文化まで、幅広く議論していく。ただし、基礎的な設置科目であることを考慮し、なるべく平易な言葉で解説する。授業では、さまざまなヴィジュアル・イメージや映像を見ながら、人びとの創造的営みを通じて文化を考察していく。受講者には、分析対象となるイメージについて主体的に思考し、グループで意見を交わしてもらうので、積極的な議論への参加が期待される。
本講義のねらいは、西洋や日本の文化を理解するための基礎的な教養を身につけ、主体的に文化現象について思考する態度を養うことである。
本講義を履修することで次のような能力を習得する。
①複数の領域から文化現象を捉える方法を身につけることができる。
②身近にある文化について多角的な視点から思考することができる。
③対象を分析的に言語化する力を養うことができる。
表象、崇高、マニエリスム、庭園、博覧会、身体、ハリウッド、有名性、見世物、広告、ディズニーランド
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
パワーポイントを使用しながらテーマごとに講義形式で進めるが、授業内容に関する演習問題に取り組む時間も設ける。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業ガイダンスとイントロダクション | 表象文化論という学問の意義を確認する |
第2回 | マニエリスムとは何か? | 美術史を超えた精神史としての「マニエリスム」を理解する |
第3回 | 崇高とは何か? | イマヌエル・カントとエドマンド・バークが議論した「崇高」という概念を理解する |
第4回 | 建築と庭園 | 東西の建築や造園術を比較する |
第5回 | 権力としての博覧会 | 見世物としての展示から政治性を読み取る |
第6回 | ハリウッド映画と身体の文化史 | ハリウッドのセレブリティ文化や社会的に構築される身体の文化史を学ぶ |
第7回 | 広告とディズニーランド | 現代の文化産業について理解する |
第8回 | さまざまな文化現象についての考察 | 授業内容の総括 |
指定しない。
参考書はテーマごとにたくさんあるので、授業内で紹介する。
授業への参加度(40%)、期末試験(60%)
特になし。
kitamura.k.af[at]m.titech.ac.jp