本講義では,実際に観測された標本に基づいてデータの背後にある母集団の情報を引き出す「推測統計学」を中心に統計学の基礎を学ぶ.講義内容には,記述統計・確率・確率分布(二項分布,正規分布等)・推定・仮説検定・回帰分析などが含まれる.これらは数理統計学,機械学習,計量経済学などを学習する際の基本的な知識となる.
本講義のねらいは,確率分布に基づいたモデルを用いて推定・仮説検定といった統計的推測を行うことで,データを生み出した背後の構造を推論できるようになることにある.
本講義の履修を通じて,履修者は以下の知識と能力を修得する.
1)記述統計,確率分布,推定,仮説検定,回帰分析といった統計学の基礎を理解する.
2)実際のデータに対して,基本的な推定・仮説検定ができるようになる.
記述統計,推測統計,確率分布,標本抽出,推定,仮説検定,回帰分析
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
教科書に基づいた資料を用いて,統計学の基礎と計算方法を講義する.講義内容の理解を深めるため,講義中に例題を解く時間を設ける.
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 統計学とその役割 | 統計学とはどのような学問であるかについて理解する. |
第2回 | 記述統計学1 | 平均値・メディアン・モードの性質を理解する. |
第3回 | 記述統計学2 | 分散・標準偏差・相関係数の性質を理解する. |
第4回 | 確率と確率変数 | 確率の計算と確率変数を理解する. |
第5回 | 期待値・分散・共分散 | 確率変数の期待値・分散・共分散の性質を理解する. |
第6回 | 確率分布 | 二項分布・正規分布などの代表的な確率分布を理解する. |
第7回 | 無作為標本と標本分布1 | 推測統計の考え方を修得する.また,標本平均の性質と大数の法則・中心極限定理を理解する. |
第8回 | 無作為標本と標本分布2 | 標本分散の性質や代表的な標本分布であるカイ2乗分布・t分布・F分布を理解する. |
第9回 | 点推定とその性質 | 不偏性・一致性・漸近正規性といった推定量が満たすべき性質を理解する.また,最尤法を用いて推定量を導出できるようになる. |
第10回 | 仮説検定の考え方 | 仮説検定の基本的な用語と考え方を修得する. |
第11回 | 代表的な仮説検定 | 様々な状況における代表的な仮説検定を計算できるようになる. |
第12回 | 検定統計量の導出と評価 | 尤度比検定とネイマンピアソンの補題を理解する. |
第13回 | 区間推定 | 代表的な信頼区間を計算できるようになる.また,区間推定と仮説検定の関係を理解する. |
第14回 | 回帰分析 | 線形回帰モデルの係数を最小2乗法により推定できるようになる. |
第15回 | 分散分析 | 1元配置・2元配置の分散分析を計算できるようになる. |
久保川達也・国友直人(2016). 『統計学』.東京大学出版会.
久保川達也(2017).『現代数理統計学の基礎』.共立出版.
宮川雅巳(1998).『統計技法』.共立出版.
講義中に学習した統計学の基礎と計算方法の理解度を評価する.成績評価は
レポート課題:30%,期末試験:70%
とする.
特になし。