政治学の基礎について、現代思想の成果を取り入れ、論じる。理論的側面を講義した上で、具体的な現代社会の課題について論じる。政治学とは、異なった能力・価値観・意見・慣習をもった他者同士が、ひとつの場所でいっしょにやっていくための方法を考える学問である。重要なのは自分とは異なる他者の存在を前提とすること。他者とわかりあうことは、そう簡単なことではない。時にもどかしく、時にイライラする。しかし、何とか合意形成しなければ、社会の秩序を保つことはできない。では、どうすればいいのか。その試行錯誤の軌跡と思考を講義し、現代社会への展望を論じる。
本講義のねらいは2つある。一つは政治学の基礎を習得すること。二つは現代社会の課題に対して、政治学的解決の方法を身につけること。この能力を身につけることで、異なる他者との共存のあり方を模索することが可能となる。
本講義を履修することによって、以下の能力を修得する。①政治学の基礎を身につけることができる。②政治学的課題解決の方法を身につけることができる。③現代思想の一翼を担う政治哲学について理解し、他の人文科学・社会科学へ応用することができるようになる。
政治 右派 左派 ナショナリズム 原理主義 正義 デモクラシー 公共 権力 ポストコロニアル オリエンタリズム ジェンダー サバルタン
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義形式で行う。毎回、レジュメを配布し、議論を進める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業ガイダンス、イントロ | ガイダンス |
第2回 | 左って何? 右って何? | 左派・右派の違いについて説明できるようになる |
第3回 | 現代政治の見取り図 | 現代政治の見取り図を四象限で理解し、自らの立ち位置を説明できるようにする |
第4回 | ナショナリズムと国民主権 | 近代ナショナリズムが主権という概念と共に政治化した背景を理解する |
第5回 | 政治と宗教 -セキュラリズム・原理主義・宗教多元主義 | 政治と宗教の関係について説明できるようにする |
第6回 | ガンディーと政治 | M・K・ガンディーを通じて政治と宗教の関係を考察する |
第7回 | 正義論 | リベラリストと共同体主義者の論じる「正義」の違いについて説明できるようになる |
第8回 | デモクラシー論 -アソシエーション・国家・グローバル | 現代デモクラシーの特徴と課題について理解する |
第9回 | 公共性 -市民社会・大衆社会・ファシズム | 大衆化時代の公共性について理解し、課題を把握する |
第10回 | 権力論 | 現代社会の権力のあり方について、フーコーの理論を通じて理解する |
第11回 | オリエンタリズム論 | 学問的「知」が植民地支配という「権力」といかに結びついたかについて理解する |
第12回 | ポストコロニアル論 | 学問的「知」が植民地支配という「権力」といかに結びついたかについて理解する |
第13回 | ジェンダー/セクシャリティ論 | ジェンダー/セクシャリティの問題が現代政治といかに関わるかを理解する |
第14回 | 他者表象と権力 -サバルタンは語ることができるのか? | 抑圧された者(サバルタン)をめぐる政治について理解する |
第15回 | 政治と主体 | エージェンシー(行為主体性)という概念から、現代政治の課題を理解する |
特にない。毎回、レジュメを配布する。関係する資料についても適宜配布する。
特になし。
第8回目終了時に提出する中間レポートと、学期末の最終レポートで評価する。
事前に身につけているべき知識はない。