2017年度 文系エッセンス21:日本人の思想と宗教   Essence of Humanities and Social Sciences21:Japanese Thought and Religion

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
文系教養科目
担当教員名
葛西 賢太 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
水5-6(B226)  
クラス
-
科目コード
LAH.S421
単位数
1
開講年度
2017年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2017年3月17日
講義資料更新日
2017年11月15日
使用言語
英語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

 一世紀前、キリスト教徒の知識人である新渡戸稲造は、あえて英文でBushido: the Soul of Japan(邦訳タイトルは『武士道 日本の魂』など)を刊行した。新渡戸は国際連合の事務次長も務めた人物で、本書は広く読まれた。日本人の道徳体系として武士道を検討する本書は、新渡戸の関心を強く反映しており、実際の武士たちの思想とは一致していない。本書を批判的に読む作業を通して、参加者は日本に限らず多くの近代国民国家を支えてきた価値観を見いだすだろう。現代の私たちが抱える課題や、私たちが抱く意識的・無意識的な理想像や反・理想像(それらは私たちの生き方を方向づける)と、新渡戸の主張とを比較し、私たち自身を深く知ることを、この講義で目指す。
 近代国家建設期の日本の知識人が抱いていた日本人の理想像や、当時の国家的な課題(日本を列強の中に位置づけること)を本書を通し確認するが、目的は日本の政治史や文化史の知識を増やすことにはなく、もちろん100年前の新渡戸の価値観や、日本的価値観、とりわけ戦争犯罪や暴力性を手放しで礼賛することではけっしてない。
 日本人の生き方について、そして自分自身の生き方について、多様な視点から考えたいという多様な学生の参加を期待する。とくに日本人以外の参加を歓迎する。

なお、本書は複数の日本語訳が存在しており、それらの利用も許容するが、日本語と英語の記述を比較往復するため、講談社インターナショナル刊行の対訳本を強く推奨する。本書の英文は必ず読み、討議やプレゼンテーションやレポートも英文を基準にして行うこと。新渡戸の英文は摸倣に値する優れたものであるし、日本文化を肯定的にも否定的にも吟味するための表現として有用である。

到達目標

自分の理想像・価値観について、日本人新渡戸稲造の理想像と比較対照することにより自覚することができ、新渡戸の英語から学んで、英語で簡単な説明ができるようになる。浅薄で脳天気な日本礼賛を批判する視点を得るとともに、意識してこなかった自分自身の価値観を掘り下げることができる。英語でのプレゼンテーションを通して、またグループでの共同作業を通して、コミュニケーションの力を養う。

キーワード

新渡戸稲造、キリスト教、儒教、近代国家、武士道(騎士道)、価値観の自覚

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

テキストを予習しての要約や自身の見解をメモして講義に臨む(①)。講師による英語講義を受けて、グループで英語で討議する。各回最後に、①に講義を踏まえた意見を提出する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 オリエンテーション/英語授業にどう取り組むか/新渡戸稲造の生涯と思想 特になし
第2回 武士道(序文、1-2章) 該当箇所を事前に読み自分の見解を簡単なメモにまとめて講義参加。講義終了後に、講義内容とディスカッションを踏まえたコメントをつけて提出
第3回 武士道(3-5章) 該当箇所を事前に読み自分の見解を簡単なメモにまとめて講義参加。講義終了後に、講義内容とディスカッションを踏まえたコメントをつけて提出
第4回 武士道(6-8章) 該当箇所を事前に読み自分の見解を簡単なメモにまとめて講義参加。講義終了後に、講義内容とディスカッションを踏まえたコメントをつけて提出
第5回 武士道(9-11章) 該当箇所を事前に読み自分の見解を簡単なメモにまとめて講義参加。講義終了後に、講義内容とディスカッションを踏まえたコメントをつけて提出
第6回 武士道(12-14章) 該当箇所を事前に読み自分の見解を簡単なメモにまとめて講義参加。講義終了後に、講義内容とディスカッションを踏まえたコメントをつけて提出
第7回 武士道(15-17章) 該当箇所を事前に読み自分の見解を簡単なメモにまとめて講義参加。講義終了後に、講義内容とディスカッションを踏まえたコメントをつけて提出
第8回 理解度確認・プレゼンテーション 武士道的価値観(それが論じられている章)を一つ選び、紹介と論評を行う。プレゼンテーションにはグループ全員が参加し、事前に打ち合わせや練習を行うこと。

教科書

新渡戸稲造『武士道』講談社インターナショナル、2000年。
『武士道』は、複数刊行されているが、英語と邦訳を確認しながら授業を進めるので、対訳形式のこのテキストを使用する。

参考書、講義資料等

講義中に示し、必要に応じて印刷物またはOCW-iにて配付する。

成績評価の基準及び方法

第2回冒頭に提出する自分自身の価値観をふりかえる課題(10%)、毎回講義後の授業要約コメントカード提出(35%)、最終回のプレゼンテーション(25%)、レポート(英文2000ワードまたは日本語5000字程度、30%)を、主として内容理解度を中心に評価する。なお欠席は減点対象(10%/回)とし、3回以上欠席したものには単位を与えない。

関連する科目

  • 特になし

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特に設けない

その他

英語開講

このページのトップへ