この講義では、まず、憲法の背景にある立憲主義の理念とその歴史について解説する。そのうえで憲法における重要な人権や統治の基本的な仕組みにおいて、立憲主義の理念がどのように活かされているのかを説明する。
憲法の基本原理をおおむね理解した上で、身の周りで生じるさまざまな憲法問題を自分自身で考える力を涵養す
ることをねらいとする。
立憲主義の理念と歴史について説明することができる。
基本的人権がなぜ憲法において保障されているのかについて、その歴史や権利ごとの意義に即して説明することができる。
統治機構の基本的な仕組みについて、それぞれの国家機関がなぜ存在し、どのような権能を持っているのかについて、単なる暗記にとどまることなく説明できる。
憲法、立憲主義、基本的人権、権力分立、法の支配
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義の前半では、それぞれの項目の基本的な知識を説明します。そのうえで、憲法が日常生活にどのようにかかわっているかについて、現在生じている問題をとりあげながら解説します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス | 憲法のガイダンス |
第2回 | 憲法とは何か、立憲主義とは何か | 立憲主義の意義と歴史を理解する |
第3回 | 権力が暴走しないためにはどうすればいいか ―権力分立、国民主権 | 権力分立がなぜ必要なのか、主権とは何かについて理解する |
第4回 | どうしたら主権者の意思を国政に反映できるか? ―国会の地位、運営、権能 | 国会の役割、権能について理解する |
第5回 | "首相は勝手に解散できる? ―議院内閣制と行政権、内閣" | 行政権の意義や役割について理解する |
第6回 | 裁判所が学説の対立に決着をつける? ―司法権の意義と限界 | 裁判とは何か、裁判所が判断できないこととは何かについて理解する |
第7回 | もし国民の代表者が誤っていたらどうする? ―違憲審査 | 公権力の誤りをどのようにチェックするのかについて理解する |
第8回 | 小括、中間試験 | 統治機構論についてのまとめ |
第9回 | 人権をどう使うか | 憲法上の権利の類型、それぞれの法的性質を理解する |
第10回 | 思想・良心の自由が問題となる状況 | 思想・良心の自由がなぜ保障されるべきなのか理解する |
第11回 | 宗教を理由に義務を免除できるか ―剣道受講拒否事件 | 信教の自由や政教分離原則がなぜ必要なのか理解する |
第12回 | 表現の自由の優越的地位 ―堀越・世田谷事件 | 表現の自由がなぜ重要な権利なのか理解する |
第13回 | 健康で文化的な最低限度の生活をどう保障するか ―老齢加算廃止違憲訴訟 | 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が何を保障しているのか理解する |
第14回 | 一人一票にいいことがあるのか ―議員定数不均衡訴訟 | 望ましい民主政のあり方を考える材料を理解する |
第15回 | 総括、期末試験 | 人権論についてのまとめ |
特定の教科書は使用しない。さしあたり次の欄に掲げる二冊を紹介するが、詳しくは教場で指示する。
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法〔第6版〕』(2015年、岩波書店)
長谷部恭男『憲法〔第6版〕』(2014年、新世社)
中間・期末試験(それぞれ40%、合計80%)、日常の課題(20%)
憲法に興味があること。
憲法の基本的な知識はあっても、条文を読むと難しいことが書いてあってわかりにくいと思う人もいるかもしれません。
しかし、実社会では毎日のように憲法に関わる問題が取り上げられていて、実は身近なものです。新聞やニュースなどに触れて、「これは憲法に関係する問題ではないか?」と考えてみてください。