この授業科目では、アメリカ文学研究では常に先端的な研究の議論の対象とされる、アメリカ文学を代表する作家William Faulknerの文学の中で代表作のひとつである長編小説Sanctuary (1931) を読む。学生が文学テキストを読み自らテキストの問題点を拾い出し、それを手がかりに議論することで文学テキストの持つ重層的な文化の広がりを明らかにする。
同書はFaulknerがこの時期に先進的なモダニズム小説を次々と発表する中で、珍しく売ることを考えて書かれたとされる性と暴力に満ちた扇情的内容となっている。大衆的なテキストによって表現されたモダニズムとも言うべき作品であり、文学テキストの本来持つ娯楽性と高度な芸術性を併せ持った構造となっている。質の高い文学テキストを本格的な研究の対象として読む姿勢を身につける。
この授業科目は、次のような知識や能力を身につけることを目指す。
・William Faulkner文学とアメリカ文学におけるモダニズムについての基本的な知識を身につける。
・様々なテキストから問題点を探し出す。
・文学テキストを批判的に分析する。
・対象とするテキストおよび参考文献を使い、テーマを設定し分析的に議論する論文の作成
アメリカ合衆国 アメリカ文学 ウィリアム・フォークナー、モダニズム
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
(1)授業の冒頭で、前回の授業の最後に学生が提出した質問や意見に対する応答の時間を設けて、前回の授業の復習とその日の授業の導入とする。(2)学生が用意してきた問題点を発表し合い、それを問題提起としてテキストについて議論する。(3)第7回、8回での準備を経て、最終的に独自の議論を作成する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業の方針の説明/William Faulkner文学についての解説/Sanctuaryについての解説 | 課題Sanctuaryの1~6章を読んで問題点を拾い出し、それぞれ問題が問題である理由についての説明を記述する。 |
第2回 | 用意してきたSanctuaryの1~6章の問題点を出し合い、それを手がかりにこの箇所のテキストを巡って議論する。 | Sanctuaryの7~12章を読んで問題点を拾い出し、それぞれ問題が問題である理由についての説明を記述する。 |
第3回 | 用意してきたSanctuaryの7~12章の問題点を出し合い、それを手がかりにこの箇所のテキストを巡って議論する。 | Sanctuaryの13~18章を読んで問題点を拾い出し、それぞれ問題が問題である理由についての説明を記述する。 |
第4回 | 用意してきたSanctuaryの13~18章の問題点を出し合い、それを手がかりにこの箇所のテキストを巡って議論する。 | Sanctuaryの19~24章を読んで問題点を拾い出し、それぞれ問題が問題である理由についての説明を記述する。 |
第5回 | 用意してきたSanctuaryの19~24章の問題点を出し合い、それを手がかりにこの箇所のテキストを巡って議論する。 | Sanctuaryの25~31章を読んで問題点を拾い出し、それぞれ問題が問題である理由についての説明を記述する。 |
第6回 | 用意してきたSanctuaryの25~31章の問題点を出し合い、それを手がかりにこの箇所のテキストを巡って議論する。 | Sanctuary全体から改めて問題点を拾い出し、それぞれ問題が問題である理由についての説明を記述する。 |
第7回 | 持ち寄ったSanctuaryの問題点を出し合って、Sanctuaryを巡る議論の可能性について検討する。 | Sanctuaryを巡る独自の議論を作る。 |
第8回 | Sanctuaryを巡る議論を発表し、批評し合う。 | 発表した議論を改善したものを、論文のフォームにして提出する。 |
William Faulkner. Sanctuary (1931)
*特に版を指定しない。
授業における議論の流れに則して適宜紹介する。
課題:30% 授業への取り組み:30% 期末のレポート:40%
アメリカ文学史の基礎的な知識があること (不明な場合は担当教員に相談のこと)