本講義は二部から構成される。前半(1Q)では、比較文学研究の理論を概説し、関係論文を講読する一方、具体的な作家・作品分析を試みる。後半(2Q)では、比較芸術研究の方法論について概説し、代表的な著作を紹介し、日中間の美術交流にかかわる人物や事例を取り上げ、具体的な分析を試みる。
講義のねらいは、学生たちが比較文学及び比較芸術学の方法論を理解し、その知識を修得する基礎を固めることである。(年度によっては1Qと2Qの順番を入れ替えて講義する場合がある。今年度は14回実施)
(日本語)
本講義を受講することによって、前半(1Q)では、比較文学研究とは何か、文学批評の方法論を理解し、文学作品の鑑賞力を身につける。後半(2Q)では、比較芸術研究の方法論を理解し、絵画作品鑑賞の知識を修得することができる。
エクリチュール、ロラン・バルト、構造主義の批評理論、魯迅、芥川龍之介、周作人、永井荷風、森鴎外
比較芸術研究、水墨画、牧谿、瀟湘八景、富岡鉄斎、裸体画、近代中国美術
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回講義の冒頭で、その主旨を説明し、論文や文献資料を輪読しながら、作品のバックグランド、文脈を解説します。講義の後半では、作品の分析解読に参加してもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 比較文学とは何か、文学批評理論の概説 | 「現代の比較文学」(講談社学術文庫、亀井俊介著)を読むこと |
第2回 | 研究論文講読 (1) 作家魯迅の誕生と日本 | 魯迅の「狂人日記」 |
第3回 | 研究論文講読 (2) 作家魯迅の誕生と日本 | 日本近代文学史、芥川龍之介、菊池寛 |
第4回 | 研究論文講読 (3) 周作人の散文と永井荷風 | 永井荷風のエッセイ「冬の蠅」、 |
第5回 | 研究論文講読 (4) 周作人の散文と永井荷風 | 永井荷風のエッセイ「雨瀟々」 |
第6回 | 研究論文講読 (5) 周作人の散文と永井荷風 | 江戸の「戯作」論 |
第7回 | 作家・作品分析 (1) 「沈黙の塔」前後の森鴎外 | 鴎外の小説「鼠坂」 |
第8回 | 作家・作品分析 (2) 「沈黙の塔」前後の森鴎外 総括及び討議 | 鴎外の小説「沈黙の塔」 |
第9回 | 比較芸術研究とは、比較芸術研究の方法論の概説 | |
第10回 | 比較芸術研究の代表的な著作の紹介 | |
第11回 | 日本水墨画の規範となった牧谿の絵 | |
第12回 | 「瀟湘八景図」の日本における変容 | |
第13回 | 富岡鉄斎の作品にみる中国表象 | |
第14回 | 「裸体画騒動」をめぐる和、洋、中価値観の衝突 | |
第15回 | 近代中国美術における日本要素と日本人画家が描く「中国」 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
プリント配布、Zoomによる講義形式のため、使用教材は多少変更する場合がある。
劉岸偉著「東洋人の悲哀ー周作人と日本」(河出書房新社、1991年)
リポートの提出
日本近代文学についての基礎知識をもつこと。