この授業では、思想史上のトピックについて、テクスト読解と議論を通じて考察を行う。本年度は、主に近松門左衛門と本居宣長の著作を読みつつ、人間の「愚かさ」について検討する。宣長はなぜ「愚かなる」人情を肯定し、近松の描く愚かな男女の心中の物語が人気を博したのか。18世紀日本の「愚かさ」をめぐる言説と、その背景を歴史的・総合的に把握する。
この授業では、以下を目指す。
1)18世紀日本における「愚かさ」への見方、その背景を把握する。
2)思想史研究で用いられる、テクスト読解と言説分析の手法の初歩を学ぶ。
日本、思想史
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
プリントを配布しての講義形式。スライドやビデオも活用する。また、講義内容に関連しグループ・ディスカッションを課す。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | イントロダクション:「愚かさ」とは何か | |
第2回 | 講義(1):18世紀日本の社会と道徳 | 渡辺浩『日本政治思想史』2010。 |
第3回 | 講義(2):道徳と文学の間─『伊勢物語』『源氏物語』の読まれ方 | 日野龍夫『宣長と秋成』1984。 野口武彦『「源氏物語」を江戸から読む』1985。 |
第4回 | 講読(1):本居宣長を読む─なぜ「賢しら」は批判されねばならないか | 本居宣長『紫文要領』1763。 |
第5回 | ディスカッション(1) | 「愚かさ」に関する宣長の所論をめぐって |
第6回 | 講読(2):近松門左衛門を読む─なぜ恋人たちは心中を選ぶのか | 近松門左衛門『冥途の飛脚』1711。 |
第7回 | ディスカッション(2) | 近松作品の登場人物の「愚かさ」をめぐって |
なし。必要に応じてハンドアウト配布。
参考文献は講義の中で随時紹介する。
授業におけるディスカッション:40%
プレゼンテーションとレポート:60%
なし。
今年度は以下の日程で開講予定。
第1回 8月20日(木)3・4時限
第2回 8月27日(木)3・4時限
第3回 9月3日(木)3・4時限
第4回 9月10日(木)1・2時限
第5回 9月10日(木)3・4時限
第6回 9月17日(木)1・2時限
第7回 9月17日(木)3・4時限