地盤を構成する材料は、種々の要因の影響を受ける複雑な材料特性を有し、基礎、斜面、トンネル等の地盤構造物の挙動は更に複雑なものとなる。そのため、各種要因の影響評価を含めたその挙動観測のための有効な方法として、明確な初期条件、境界条件の下で実施可能な小型縮尺模型を用いた物理模型実験がある。
本講義では、相似則、適切な単純化等、物理模型に求められる理論や条件、それを達成するための技術についての習得を目指す。
本授業では、講義と実験演習を通して静的並びに動的条件下での地盤工学上の問題に関する物理モデルのための相似則、モデル構築のための種々の検討事項、模型地盤作成方法、計測技術、外力載荷技術等について学ぶ。本講義を修了した学生は、個々の問題に関する物理模型実験を行うための知識と技術を習得する。
地盤材料特性、縮尺模型、相似則、地盤作成法、計測手法、静的問題、動的問題、グループワーク
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
基本事項に関する講義と段階的なグループワークを組み合わせて、最終的に各グループごとで設定した地盤問題について遠心模型実験を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 序論-物理模型の目的と位置づけ | 地盤工学における物理模型の利点と利用法についての理解 |
第2回 | 相似則とモデル化の理論 | 次元解析と相似則、縮尺模型のモデル化 |
第3回 | 物理模型の計画と設計、模型地盤の作成方法 | 目的地盤、構造物、外力に応じたモデル化技術、地盤作成方法 |
第4回 | 演習 1:砂地盤の作成 | 均質乾燥砂地盤の作成実習と影響因子の理解 |
第5回 | 計測計画と計測機器-原理と応用 | 模型の挙動観測に用いられる計測法やセンサーについて理解する |
第6回 | 静的問題に対する物理模型の適用例 | 静的荷重条件下のモデル化 |
第7回 | 演習2:砂地盤上の浅基礎の支持力実験 | 重力場小型模型の計画と実施 |
第8回 | 演習2: 継続 | 同上 |
第9回 | 演習1、2についての発表と討議 | 同上 |
第10回 | 動的問題に対する物理模型の歴用例 | 動的荷重条件下のモデル化 |
第11回 | 演習3: 遠心模型実験 の解説 | 地盤と構造物の相互作用に関する遠心力場模型の計画 |
第12回 | 演習3: 遠心模型実験 の提案 | 模型作成上の主要検討事項の抽出と確認 |
第13回 | 演習3: 遠心模型実験の実施と中間報告 | 同上 |
第14回 | 演習3: 遠心模型実験の結果報告と討議 | 主要結論の導出とその精度、意義の確認 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
必要資料は講義時に配布する
Geotechnical Centrifuge Technology, Blackie Academic & Professional
宿題、演習レポート、演習発表
土質力学、地盤工学の知識を有していることが望ましい。
どのような現象、結果にも必ず理由があり、それを見つけ出そうとする好奇心と洞察力