本講義では、水和反応-空隙構造-物質移動モデルに基づいた材料としてのコンクリートのモデリング、分散ひび割れモデルを中心とした構造部材としての鉄筋コンクリートのモデリング、ならびにこれらの連成によるレオロジーモデルを中心とした材料-構造連成モデルを解説する。
良質なインフラを建設したり、インフラの維持管理を合理化を図っていく上で、材料挙動に根差した構造性能の理解が重要になると考えられる。本講義では材料的なモデリングの理解を通じてコンクリートの材料、構造特性についての理解を深めることを目的とする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)水和反応-空隙構造-物質移動モデルに基づいて、多孔体としてのコンクリート材料挙動を説明できる。
2)分散ひび割れモデルに基づいて、鉄筋コンクリ―トの力学的な応答を説明できる。
3)材料-構造連成モデルに基づいて、材料スケールの挙動が構造物に与える影響を説明することができる。
鉄筋コンクリート、材料-構造連成解析、水和反応-空隙構造-物質移動モデル、分散ひび割れモデル、レオロジーモデル、材料劣化
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義の最後に期末試験を行います。また毎講義後に小レポートの提出を課します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション | 最先端の鉄筋コンクリート解析技術について知る。 |
第2回 | 水和発熱モデル | 水和反応の熱力学的モデルについて理解する。 |
第3回 | 空隙形成-水分移動モデルの基礎 | 多孔体としての挙動理解の基礎となる空隙形成-水分物質移動モデルの基礎を理解する。 |
第4回 | 空隙形成モデル | 多孔体としての挙動理解に必要な空隙形成モデルを理解する。 |
第5回 | 水分移動モデル | 多孔体材料挙動の挙動理解に必要な水分物質移動モデルおよび強度発現モデルを理解する。 |
第6回 | 強度発現モデル | 水和に伴った力学的物性変化の記述に必要な強度発現モデルを理解する。 |
第7回 | 中性化モデル | コンクリート中性化機構とそのモデルを理解する。 |
第8回 | 塩化物イオン移動モデル | 多孔体中の塩化物イオン移動モデルを理解する。 |
第9回 | 酸素透過モデルおよび鋼材腐食モデル | 多孔体中の酸素移動モデルと電気化学的腐食モデルについて理解する。 |
第10回 | 鉄筋コンクリートにおけるひび割れの取り扱い方 | 鉄筋コンクリートモデルにおけるひび割れの取り扱い方を理解する。 |
第11回 | コンクリート弾塑性破壊モデル | 非線形材料である鉄筋コンクリートの構造的特性を記述する弾塑性破壊モデルについて理解する。 |
第12回 | ひび割れたコンクリートのモデル化 | ひび割れたコンクリートのモデル化について理解する。 |
第13回 | コンクリートせん断伝達モデルおよび鉄筋のモデル化 | コンクリートひび割れ面上におけるせん断伝達のモデル化および鉄筋コンクリート中の鉄筋のモデル化について理解する。 |
第14回 | 時間依存変形モデル(クリープ、鋼材腐食) | 硬化後の鉄筋コンクリート構造物に生じる変状のモデル化について理解する。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
Nonlinear Mechanics of Reinforced Concrete, K. Maekawa, A. Pimanmas and H. Okamura, SPON Press, 2003.
Multi-Scale Modeling of Structural Concrete, K. Maekawa, T. Ishida and T. Kishi, Taylor and Francis, 2008.
なし
本講義における成績は小レポート(30%)、期末試験(70%)により評価する。
履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい。