本講義では、水域生態学の基礎および水域生態系の評価管理手法を扱う。前半では、生態系の構成要素を理解する上で重要となる水質化学、生物地球化学、基礎生態学を解説し、後半ではそれらを総合的に理解することで水域生態系の構成要素間の相互作用を扱い、さらに河川や湖沼を対象として水域生態系の評価管理手法を概説する。
国土管理では自然生態系を持続可能な形で管理・保全することが不可欠である。水域生態系は洪水管理、水利用、水環境、漁業など人間活動と密接な関係にあるため、水域生態系の成り立ちや人間活動との関係を十分に理解した上で管理・保全の方法を検討することが求められる。そこで、本講義では水域生態系における物理プロセスだけでなく、化学・生物プロセスの役割も理解することで自然生態系の理解を深めて、生態系管理の概要を修得することをねらいとする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1.水環境における物質循環および水質形成プロセスの基礎を説明できる。
2.水域生態系の主要構成要素と主要な生態学的プロセスを説明できる。
3.河川、湖沼、沿岸域などの各水域の水理学的特性に基づき、環境管理に有効となる概念および手法を提示できる。
水質化学、微生物、食物連鎖、水域生態系、水環境管理
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
基本的に各テーマを1回の講義で進めます。毎回の授業は、演習問題を含む講義が75分程度、その後の小テストに15分程度の時間配分で進めます。また、中間試験および期末試験の他にレポート課題を出題します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス(水環境の現状) | 講義概要を水環境の現状と関連付けて理解する |
第2回 | 流域水文学 | 流域水文学を理解し、演習に取り組む |
第3回 | 土砂と生息場の動態 | 土砂と生息場の動態を理解し、演習に取り組む |
第4回 | pHと酸化還元ポテンシャル | pHと酸化還元ポテンシャルを理解し、演習に取り組む |
第5回 | 溶解と反応速度論 | 溶解と反応速度論を理解し、演習に取り組む |
第6回 | 粒子と吸着 | 粒子と吸着を理解し、演習に取り組む |
第7回 | 中間演習 | 前半の内容を整理し、演習に取り組む |
第8回 | 一次生産 | 一次生産を理解し、演習に取り組む |
第9回 | 栄養塩循環 | 栄養塩循環を理解し、演習に取り組む |
第10回 | 微生物と炭素動態 | 微生物と炭素動態を理解し、演習に取り組む |
第11回 | 種と生物多様性 | 種と生物多様性を理解し、演習に取り組む |
第12回 | 汚染物質の輸送と消長 | 汚染物質の輸送と消長を理解し、演習に取り組む |
第13回 | 水処理と水環境管理 | 水処理と水環境管理の基礎を理解し、演習に取り組む |
第14回 | 水環境に関するプレゼンテーションと討議 | 水環境に関するトピックを選び、プレゼンおよび議論を行う |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
なし
Aquatic Environmental Chemistry (Oxford, 1998)
Principles and Applications of Aquatic Chemistry (Wiley, 1993)
Stream Ecology: Structure and function of running waters (Springer, 2007)
演習と討議 50%, 試験 50%
14回中、10回以上の出席が必須
履修の条件は設けない