安全な都市環境を確保するためには、災害時における様々な現象や状況を踏まえた施策が必要となる。本講義では特に地震時の揺れに大きく影響する地盤特性の可視化技術である物理探査および都市空間における災害時の人間行動特性を把握するために方法について説明する。本講義の前半では、物理探査の種類およびそれらの原理や理論、各種物理探査の特徴と計測方法、石油・鉱物・地熱資源などの調査における物理探査の適用事例、および都市防災や社会基礎施設などの建設における物理探査の適用事例について紹介する。また後半では、各施設の人流特性に合致した施設や設備の処理能力・数の規模、避難誘導、省エネ等の最適化を図る技術としてのビデオ画像解析、各種シミュレーターの他、行動パターン推計モデル等の実用例紹介とその仕組みについて紹介し、最後に事業化の基本知識やビジネスアイディア創出プロセルについても解説する。
なお、本講義では防災分野を題材としているが、被害の誘因と素因に係る本質を抽出し、それを工学的なモデルに置換して解決策を展開していくというプロセスは他の分野にも応用できるものと考える。講義をとおして、課題設定・解決のスキルとして身につけていただきたい。
1)物理探査手法の種類とそれらの特徴を理解し、地下あるいは地盤の調査においてどのような手法が有効か説明できる。
2)物理探査の結果で得られる地下断面図などの見方を理解し、地下構造をモデル化するための能力を養う。
3)人流、交通シミュレーション技術の構成、適用範囲と課題の習得
4)事業化の基本知識、ビジネスアイデア創出プロセス、ディスカッション作法の習得
群集シミュレーション、防災、ビジネスモデル、起業、物理探査、地震探査、電気探査、電磁探査、地下資源
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
前半の4回の講義では、物理探査の基礎的内容・原理について紹介するとともに、物理探査を利用した地下の可視化・モデル化の事例を紹介・解説する。後半の4回の講義では、群集シミュレーション技術の説明や事例紹介を行いながら適宜、学生に質問や意見を出させ、事業化や起業の基礎知識を提示しながら、学生各人の専門分野をベースとしたビジネスモデルについて発信してもらい、全員でディスカッションする。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 物理探査の種類と探査原理 | 物理探査の種類とそれらの基礎的な探査原理の理解 |
第2回 | 物理探査の計測方法と解析結果の解釈 | 物理探査の結果えら得る解析断面図の見方の理解 |
第3回 | 資源・環境探査における物理探査 | 地下資源や環境汚染物質の物性値の特徴の理解 |
第4回 | 防災・社会基礎施設建設における物理探査 | 地盤の物性値と物理探査により得られる物性値の関係の理解 |
第5回 | 施設内におけるシミュレーションの適用 ‐通常時の駅や空港を対象とした最適な施設配置計画、流動性の評価事例、仕組み ‐火災や地震時の駅や高層ビル等を対象とした最適な避難シミュレーションの活用事例、仕組み | ミクロ(狭域)シミュレーションの理解 |
第6回 | 地域におけるシミュレーションの適用 ‐広域エリアの群集処理の安全検証法 (津波避難シミュレーション、地下街浸水避難シミュレーション) ‐道路交通流シミュレーションシステムの活用事例 (道路交通の評価指標、駐車場シミュレーションの説明) | マクロ(広域)シミュレーションの理解 |
第7回 | 事業化、起業について ‐プロジェクトの創出、企業/起業の基本知識 (マーケティング、会社組織、提案力、コミュニケーション、経営) | 発案プロジェクトの遂行方法の理解 |
第8回 | ディスカッション ‐各人の専門をベースとした企画提案について全員で討論 | 討議の方法の理解 |
配布資料で説明するため、教科書は指定しない。
特になし。
毎回授業での参加姿勢、発言(100%)
事前に身につけているべき知識や技術はない。