水理学第一で修得した流体運動に関する基礎的原理およびその理解に必要な概念を活用して、管路や開水路における水の流動を理解し、さらにその設計に応用できる概念および解法を教授する。前半では運動量やエネルギーの保存則を基礎として、層流および乱流で働く摩擦や抵抗などを理解した上で、管路の定常流、開水路の等流、開水路の漸変流、開水路の非定常流を記述する重要な方程式を解説する。
本講義において水の流れの基礎原理と基本的現象についての理解を深め、複雑多岐な様相を呈する水の流れを理解することで、治水、利水、環境管理を行う上で必要となる管路や開水路の設計技術の基盤を得ることをねらいとする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1.層流および乱流における摩擦、抵抗、エネルギー損失などの原理および解法を説明できる。
2.管路や開水路における水理現象に対して、水理学第一で習得した流体運動に関する概念と原理を応用できる。
3.管路や開水路における流体運動の⼀次元的表現とその物理的意味および解法を説明できる。
層流と乱流、摩擦と抵抗、エネルギー損失、等流、管路の定常流、開水路の漸変流、開水路の非定常流
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義で取り扱った事柄について適時演習課題やレポート課題を課します。各回の講義各回の学習目標をよく読み、課題を予習・復習で行って下さい。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス 水理学と水関連インフラ、水理学第一や水理学実験との関係 | 水関連インフラや水環境管理における水理学の役割、また水理学第一や水理学実験との関係を理解する |
第2回 | 層流と乱流(1) レイノルズ数、層流 | 各種保存則の復習、レイノルズ数を用いた粘性流体の流れの理解(教科書第5章) |
第3回 | 層流と乱流(2) 乱流、レイノルズ応力 | 乱流の特徴を、レイノルズ数、レイノルズ応力、ナビエ・ストークスの式を用いて理解(教科書第5章) |
第4回 | 層流と乱流(3) 滑面と粗面、流速分布 | 壁面に沿う乱流の流速分布を滑面・粗面の概念を用いて理解(教科書第5章) |
第5回 | 物体に働く抵抗 運動量保存則、エネルギー保存則 | 流体中に働く各種抵抗を運動量保存則およびエネルギー保存則を用いて理解 |
第6回 | 管路の定常流(1) 基礎方程式、摩擦損失(層流) | 管路の流れを一次元方程式で理解、層流状態における摩擦損失を導出(教科書第9章) |
第7回 | 管路の定常流(2) 摩擦損失(乱流)、ムーディ図表、 摩擦以外のエネルギー損失 | 管路での乱流状態における摩擦損失を導出、ムーディ図表を理解(教科書第9章) |
第8回 | 中間試験および前半の復習 | 第7回までの内容の理解度確認と復習 |
第9回 | 開水路の等流(1) 平均流量公式、摩擦損失、等流水深 | 開水路の等流を平均流量公式、摩擦損失、等流水深により理解(教科書第7章) |
第10回 | 開水路の等流(2) 平均流量公式、摩擦損失、等流水深 | 開水路の等流を平均流量公式、摩擦損失、等流水深により理解(教科書第7章) |
第11回 | 開水路急変部の流れ(1) 比力、限界水深、エネルギー保存則 | 比力、限界水深、エネルギー保存則の概念により開水路急変部の流れを理解(教科書第6章) |
第12回 | 開水路急変部の流れ(2) 運動量保存則、跳水、共役水深、エネルギー損失 | 運動量およびエネルギーの観点から開水路急変部(特に跳水)を理解(教科書第6章) |
第13回 | 開水路の漸変流(1) 漸変流方程式 | 開水路の漸変流方程式を導出(教科書第8章) |
第14回 | 開水路の漸変流(2) 開水路水面形(急勾配、緩勾配) | 急勾配および緩勾配における開水路水面形を記述する解法を導出(教科書第8章) |
第15回 | 開水路の非定常流 運動方程式、連続方程式、開水路の波、段波 | 開水路の非定常流を各種保存則や連続の式で理解(教科書第10章) |
日野幹雄:明解水理学、丸善
池田駿介『詳述 水理学』,技報堂出版,ISBN-13: 978-4765515993
出席10%、レポート10%、中間試験40%、期末試験40%
特になし(水理学第一を履修済であることが望ましい)