本講義では、連続体力学における重要な概念であるテンソルについて説明する。まず、基礎理論としてのテンソル代数を示し、対称・反対称テンソルの特徴などを説明する。続いて、ひずみテンソル、応力テンソルなどの具体的なテンソルの例を挙げる。最後に高度なテンソル解析として曲線座標系での取扱いに簡単に触れる。
建築構造は柱梁等のフレームで主に構成されるため、構造力学又は材料力学のように1軸(1次元)の応力ひずみ関係で足りることも多い。しかし、構造物は元来3次元的なものであり、局所の3次元的な応力やひずみなどを理解したり、有限要素法の基礎理論を習得したりするためには、テンソルを理解する必要がある。抽象的なテンソルの概念を理解するとともに、例を通じてテンソルの必要性や有用性を感じてほしい。
本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1)物理量としてのテンソルとは何か,スカラー・ベクトルとの違いを説明できる
2)何故テンソル解析が用いられるか,テンソル解析の有益性を説明できる
3)ひずみテンソルなどを求めることができる
テンソル、連続体力学、地震工学
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
演習問題にも取り組んでもらいます。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 講義の概要 | テンソルの概要とテンソル解析の有益性、直接表示 |
第2回 | テンソルの基礎理論(1) | テンソル代数、(主)不変量、テンソル積、テンソルの固有値 |
第3回 | テンソルの基礎理論(2) | 対称テンソル、反対称テンソル、直交テンソル |
第4回 | テンソルの基礎理論(3) | 極分解、テンソル場、積分定理 |
第5回 | ひずみテンソル | Greenのひずみテンソルの定義と工学ひずみとの差異 |
第6回 | 応力テンソル | 応力テンソルの定義とひずみテンソルの対応 |
第7回 | 地震工学におけるテンソル | 仕事テンソル、有効質量テンソル |
第8回 | 高度なテンソル解析 | 曲線座標系におけるテンソルの取扱い |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし
必要に応じて講義資料を配布します。
テンソル及び関連問題の理解度を評価
演習100%
建築や土木における構造力学・材料力学に関する知識を有すること