本講義では、私たちの身の回りにあるモノ・建築・都市といった人工物を「生態学」の考え方に基づきながら観察し、そのあり方を表現する演習を行う。生態学とは、「生物の生活に関する科学(広辞苑)」であり、ある生物が生存する様子を生物単体から捉えるのではなく、周囲の環境との対応関係のなかで捉えていくところに特徴がある。人工物のあり方も同様に考えることができる。たとえば「椅子」は、単体としてみれば40センチ四方の面材が4本の棒状の部材で支えられたモノであり、機能としては座るためのものだが、それが「椅子」であるためには、平滑な地面があり、面材の地面からの高さが人間の脚の長さに対応し、さらに棒状の部材が身体の重みを支えるに十分な強度を備えていなければならない。逆に言えば、椅子をデザインするということはこれらの異なる配慮を統合することであり、こうした配慮への気づきがなければ椅子はデザインできない。
本講義は、様々な人工物とそれを取り巻く環境との関係を原理的に検討していくことを通して、建築設計の基礎となる観察力を養うことをねらいとする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)身の回りの人工物で具体的に何が起こっているのかを原理的に観察する力
2)観察された内容を統合する力 3)以上を的確に表現する力
建築、都市、デザイン、生態学、ふるまい
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
テーマごとに講義と演習を交互に行う。講義は、学生やTAも含めたディスカッション形式とし、各テーマへの理解を深める。演習では、学生各自で自由に選定した事例について、スケッチと記述によるレポートを作成する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス | なし |
第2回 | 講義 「道具」 | なし |
第3回 | 演習 「道具」についてのレポート作成 | なし |
第4回 | 講義 「家具」 | なし |
第5回 | 演習 「家具」についてのレポート作成 | なし |
第6回 | 講義 「窓」 | なし |
第7回 | 演習 「窓」についてのレポート作成 | なし |
第8回 | 講義 「部屋」 | なし |
第9回 | 演習 「部屋」についてのレポート作成 | なし |
第10回 | 講義 「ペット・アーキテクチャー/メイド・イン・トーキョー」 | なし |
第11回 | 演習 「ペット・アーキテクチャー/メイド・イン・トーキョー」についてのレポート作成 | なし |
第12回 | 講義 「タイポロジー」 | なし |
第13回 | 演習 「タイポロジー」についてのレポート作成 | なし |
第14回 | 講義 「群衆」 | なし |
第15回 | 演習 「群衆」についてのレポート作成 | なし |
指定なし
J.V. ユクスキュル 『生物から見た世界』 岩波文庫, ISBN-13 : 978-4003394311
J.J. ギブソン 『生態学的視角論 -ヒトの知覚世界を探る-』 サイエンス社, ISBN-13 : 978-4-7819-0393-4
B. ルドフスキー 『建築家なしの建築』 SD選書, ISBN-13 : 978-4306051843
B. ルドフスキー 『人間のための街路』 鹿島出版会, ISBN-13: 978-4306070899
坂本一成ほか 『建築構成学 -建築デザインの方法-』 実教出版, ISBN-13: 978-4407325720
塚本由晴ほか 『メイド・イン・トーキョー』 鹿島出版会, ISBN-13 : 978-4306044210
塚本由晴ほか 『コモナリティーズ -ふるまいの生産-』 LIXIL出版, ISBN-13 : 978-4864800099
東京工業大学建築学科塚本研究室 『ペット・アーキテクチャー・ガイドブック』 ワールドフォトプレス, ISBN-13 : 978-4846523275
東京工業大学塚本由晴研究室 『Windowscape 窓のふるまい学』 フィルムアート社, ISBN-13 : 978-4845910588
東京工業大学塚本由春研究室 『Windowscape2 窓と街並の系譜学』 フィルムアート社, ISBN-13: 978-4306070899
演習におけるレポート提出。
なし