遺伝子組換え技術は生体分子であるDNAとタンパク質を人為的に改変することを可能とした。さらに近年の遺伝子組換え技術の発展により大規模かつ複雑な操作をDNA・染色体に施すことでタンパク質や細胞の表現型としての機能を巧みに改変し、その機能を分子認識、物質生産、イメージングなどの工学的応用に用いることが実現されている。本講義ではタンパク質工学、代謝工学、人工遺伝子回路、染色体工学についての基本的知識を教授し、さらにこれらにおける先端的な研究を紹介する。
本講義を履修することにより、
(1) タンパク質工学の概要を理解し、タンパク質の熱安定化、分子進化工学、抗体工学に関する先端的な知識を習得する
(2) 代謝工学の概要を理解し、有用物質生産に向けた微生物の代謝工学に関する先端的な知識を習得する
(3) 人工遺伝子回路の概要を理解し、遺伝暗号の改変、試験管内人工生命、代謝工学への人工遺伝子回路の利用に関する先端的な知識を習得する
(4) 染色体工学の概要を理解し、人工染色体を用いた染色体工学、発生工学と遺伝子組換え動物作製への活用、バイオイメージングに関する先端的な知識を習得する
タンパク質工学、代謝工学、人工遺伝子回路、染色体工学、バイオイメージング
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
4人の教員が3〜4回ずつの講義を担当し、生体分子工学における各分野の概説、およびその分野における最新トピックスについて、パワーポイントを用いた解説を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | タンパク質工学概論 | タンパク質工学の概念とそこで使われる方法論について説明できる。 |
第2回 | タンパク質工学の応用:(1) 熱安定化 | タンパク質工学の重要な応用としての熱安定性向上の意義と,その具体的方法について説明できる。 |
第3回 | タンパク質工学の応用:(2) 分子進化工学 | タンパク質工学の重要な手法である分子進化工学の基礎と応用例について説明できる。 |
第4回 | タンパク質工学の応用:(3) 抗体工学 | タンパク質工学の産業上最も重要な1分野である抗体工学の基本と,いくつかの応用例について説明できる。 |
第5回 | 代謝工学概論 | 代謝工学の概念とそこで使われる方法論について説明できる。 |
第6回 | バイオ燃料生産の代謝工学 | 微生物によるバイオ燃料生産に向けた代謝工学について説明できる。 |
第7回 | バイオ化成品生産の代謝工学 | 微生物によるバイオ化成品生産に向けた代謝工学について説明できる。 |
第8回 | 遺伝暗号の改変 | 遺伝暗号の成り立ちとその改変方法、およびそのタンパク質工学への適用を説明できる。 |
第9回 | 試験管内の人工生命 | 人工的な生体高分子であるアプタマーやアプタザイムにつて、また、これらを酵素と組み合わせた試験管内の人工生命について説明できる。 |
第10回 | 代謝工学のための人工遺伝子回路:(1) 数理モデルの基礎 | 合成生物学分野における、人工遺伝子回路において使われている数理モデルの基礎について説明できる。 |
第11回 | 代謝工学のための人工遺伝子回路:(2) 代謝工学への利用 | 合成生物学分野における、代謝工学のための人工遺伝子回路での、タンパク質の組み合わせ方と改変の仕方について説明できる |
第12回 | 人工染色体概論 | 人工染色体の基礎とその応用について理解する。 |
第13回 | 人工染色体を用いた染色体工学 | 人工染色体を用いた遺伝子組換え操作と最新の染色体工学技術を説明する。 |
第14回 | 遺伝子工学・発生工学技術と遺伝子組換え動物 | 遺伝子組換え動物作成における最新の遺伝子工学、ゲノム編集、発生工学技術を理解する。 |
第15回 | 遺伝子操作によるバイオイメージング | 蛍光タンパク質をはじめとした最新のバイオイメージング技術を理解する。 |
特になし
必要に応じ講義開始時に資料を配付し、パワーポイントを用いた解説を行う。講義で使用するファイルは事前にOCW-iにより公開する。
各教員が提示する課題の提出により評価する。(25%ずつ)
特になし