【中間~高度レベル】核酸、糖、ペプチド、タンパク等に化学修飾の導入した機能性生体分子は、生命現象を分子・原子レベルで理解し、また制御するために非常に有用である。本授業では、生体分子の化学構造や合成法の基礎知識から、機能性生体分子の高度な応用までを広くカバーすることで、生命現象を分子・原子レベルで理解・制御するための基礎を与える。
最初の3回の講義で生体分子の化学合成および化学修飾に必要な有機化学の知識を学習し基礎力を身につける。その後、核酸、糖、ペプチド、タンパク質の化学構造の基礎知識を学んだ上で、それらに対する化学修飾の導入法について詳細に学習する。さらに、医学や工学分野に応用可能な分子のデザインや、それらの光制御に関する応用力を養うとともに、生命現象を分子・原子レベルで考える力を向上させる。
生体分子、核酸、糖、ペプチド、タンパク質、光化学、有機合成化学
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
生体分子、核酸、糖、ペプチド、タンパク質、光化学、有機合成化学
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業計画:生命分子の機能化に必要な有機化学I | カルボニル化合物の化学反応、および求核付加反応を理解し、説明できるようになる。 |
第2回 | 生命分子の機能化に必要な有機化学II | 求電子付加反応、および芳香族置換反応を理解し、説明できるようになる。 |
第3回 | 機能化した核酸分子を用いた有機化学反応 | DNA template synthesis、およびSELEX法によるAptamerの機能化を理解し、説明できるようになる。 |
第4回 | 核酸の構造 | ヌクレオシド・核酸のコンホメーションを理解し、説明できるようになる。 |
第5回 | 修飾核酸の性質 | 化学修飾を施した核酸分子の性質を理解し、説明できるようになる。 |
第6回 | 修飾核酸の応用 | 化学修飾を施した核酸分子を応用した技術について理解し、説明できるようになる。 |
第7回 | 光と物質はどのような場合に相互作用できるか? | 光と物質が共鳴できる条件(Laporte則、重原子効果、El-Sayed則、超微細構造など)を考慮できるようになる。 |
第8回 | 光から化学エネルギーを得て機能させる方法 | 三重項-三重項消滅、ラジカルペアの磁場効果など、光と物質の相互作用における過渡現象を理解できるようになる。 |
第9回 | 光を生体利用する際の注意点 | 光増感機構、光の組織深達性を学び、光の生体応用を深く考えられるようになる。 |
第10回 | アミノ酸の保護とペプチドの化学合成 | アミノ酸の保護基の化学、およびペプチドの化学合成の手法を理解し、説明できるようになる。 |
第11回 | 生理活性ペプチドとペプチド医薬品 | ペプチドホルモン、抗菌ペプチド、環状ペプチド天然物、およびそれらの誘導体の化学合成と構造活性相関について理解し、説明できるようになる。 |
第12回 | ペプチドライブラリとペプチド医薬品探索 | ペプチドライブラリの構築、およびペプチドライブラリを用いた医薬品探索の手法について理解し、説明できるようになる。 |
第13回 | タンパク質のケミカルラベリング | タンパク質の部位選択的な化学修飾を説明できるようになる。 |
第14回 | 生細胞内タンパク質のラベル化 | 生体直交型反応による生細胞内タンパク質の化学修飾を説明できるようになる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
なし
各講師からT2SCHOLAを使用して配布
各教員から課されるレポート課題の提出(100%)
学部レベルの有機化学の知識