【中間~高度レベル】生命現象を分子・原子レベルで理解するためには、有機化学の知識が必須である。いっぽうで、これまで有機化学を十分勉強してこなかった学生が、研究の途上ではじめて原子レベルでの理解が必要とされるようになる場面も想定される。本授業では、有機化学を始めて学ぶ学生からある程度知識がある学生までを対象に、有機化学の基礎から高度な応用までを広くカバーすることで、すべての学生に生命現象を分子・原子レベルで理解するための基礎を与える。
最初の6回の講義で学部で学ぶ有機化学のうち、特に重要なトピックについて重点的に学習し、有機化学の基礎力をつける。中間段階では、官能基変換にトピックをしぼることにより、有機合成に必要な基礎力をつけるとともに、種々の反応の機構について学び、反応を分子・原子レベルで考えるための基礎力をつける。後半では、実際に有機化合物を合成する方法について学び、応用力をつけるとともに、分子・原子レベルで考える力を向上させる。
有機反応機構、有機電子論、分子軌道論、官能基変換、逆合成、有機化合物合成
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
ライブ型(ZOOM)授業により、5人の講師で分担して進める。各講義の冒頭10分で前回の概要を説明する。最後の10分では、各講義のまとめを概説する。全ての講義が英語で行われる。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 有機化学基礎と化学用語 | 高校と大学の有機化学を復習し、8電子則を説明できるようになる。 |
第2回 | 求核置換反応 | SN1反応とSN2反応を説明できるようになる。 |
第3回 | 脱離反応 | E1反応とE2反応を説明できるようになる。 |
第4回 | カルボニル基への求核付加反応 | カルボニル基の反応性を説明できるようになる。 |
第5回 | エノールおよびエノラートの生成と反応 | アルドール反応とクライゼン反応を説明できるようになる。 |
第6回 | アルケンへの求電子付加反応 | エポキシ化と水和を説明できるようになる。 |
第7回 | 有機化合物の合成 | 簡単な有機化合物の逆合成解析ができるようになる。 |
第8回 | 核酸化学 | ヌクレオチドの構造と反応性を説明できるようになる。 |
第9回 | 核酸合成の化学 | ホスホロアミダイト法を説明できるようになる。 |
第10回 | カルボン酸類の化学 | 脱水縮合を説明できるようになる。 |
第11回 | ペプチド合成におけるアミンとカルボン酸の保護基 | 保護基の直交性を説明できるようになる。 |
第12回 | ペプチド合成の化学 | 液相法、固相法、および生理活性ペプチドを説明できるようになる。 |
第13回 | タンパク質のケミカルラベリング | 部位選択的な化学修飾を説明できるようになる。 |
第14回 | 生細胞内タンパク質のラベル化 | 生体直交型反応を説明できるようになる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
なし
生命理工系のための大学院基礎講座―有機化学、湯浅英哉編、東京工業大学出版会(2011)
“ORGANIC CHEMISTRY AN INTERMEDIATE TEXT” second ed., Robert V. Hoffman, WILEY (2004).
Advanced Organic Chemistry, Fifth Edision, Part B: Reactions and Synthesis, F.A. Carey and R. J. Sundberg, Springer (2007).
各教員から課されるレポート課題の提出(100%)。
学部レベルの有機化学の知識
hyuasa[at]bio.titech.ac.jp
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