2024年度 基礎神経科学   Basic Neuroscience

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開講元
生命理工学系
担当教員名
鈴木 崇之  一瀬 宏  宮下 英三  廣田 順二  黒田 公美 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火1-2(WL2-401(W641))  金1-2(WL2-401(W641))  
クラス
-
科目コード
LST.A346
単位数
2
開講年度
2024年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2024年3月28日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義は「行動」のための神経システムを包括的に解説する。脳、神経細胞、遺伝子の各階層から見た「行動」を概説したのち、イオンチャネル、膜電位、シナプス、神経伝達物質など、神経細胞に関する細胞・分子生物学的な知見を解説する。さらに、知覚(体性感覚、視覚)、認知から行動に至る末梢神経系や中枢神経系の神経基盤を解説する。
本講義の目的は、我々が外界の刺激を知覚し、それに応答する行動を行うための基本的な神経機構の理解を深めることである。

到達目標

脳科学は神経科学を基盤として計算科学、分子生物学、電気生理学などの学際的な分野として発展を遂げている。脳科学を研究するためには神経科学の幅広い知識が必要である。受講生は、「カンデル神経科学」という世界標準の教科書に基づいた講義を受けることができる。受講生は、脳に対する興味を抱き、自ら積極的に学習していくことが期待されている。本講義修了時には、より高度で専門的な脳科学・神経科学を学ぶために必要な基礎知識を習得することができる。

キーワード

脳科学、神経科学、行動、知覚、認知

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

「カンデル神経科学」(第2版)の対応するセクションを講義担当教員の実験データを交えながら解説する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 脳、神経細胞、神経回路、遺伝子と行動 「カンデル神経科学」(日本語第2版)第1章から第4章を概説する。(鈴木) 脳各部位、神経回路、神経細胞、遺伝子の基本的な構造とその機能を理解し、さらにそれらが行動に果たす基本的な役割を理解すること。
第2回 イオンチャンネルと静止膜電位 「カンデル神経科学」(日本語第2版)第8章と第9章を概説する。(鈴木) イオン・チャネルの構造と機能, さらには神経細胞の静止膜電位と電気的特性を理解すること。
第3回 活動電位 「カンデル神経科学」(日本語第2版)第10章を概説する。(鈴木) 神経細胞における活動電位の発生機序を理解すること。
第4回 シナプス伝達および中枢神経系のシナプス統合について「カンデル神経科学」(日本語第2版)第11章と13章を概説する。(一瀬) シナプス伝達機構と、シナプスによる入力情報の統合が行われるメカニズムを理解すること
第5回 セカンドメッセンジャーによるシナプス伝達修飾と神経伝達物質について「カンデル神経科学」(日本語第2版)第14章、15章、16章を概説する。(一瀬) セカンドメッセンジャーによるシナプス伝達の修飾機構や神経伝達物質の放出機構、神経伝達物質の代謝について理解すること。
第6回 神経伝達物質とシナプス伝達の異常により生じる疾患について「カンデル神経科学」(日本語第2版)第12章と、第60~62章の神経精神疾患と治療薬について概説する。(一瀬) 神経伝達物質とシナプス伝達異常により生じる疾患の発症機構や、精神疾患治療薬の作用機序を理解すること。
第7回 感覚の符号化と体性感覚について、「カンデル神経科学」(日本語第2版)第17、18章を概説する。(廣田) 感覚系に共通する構成原理と情報の符号化、ならびに体性感覚系の機能と基本原理について理解すること。
第8回 視覚について、「カンデル神経科学」(日本語第2版)第21章を概説する。(廣田) 視覚系における情報処理について、その基礎となる神経回路や構成原理を理解すること。
第9回 聴覚、嗅覚、味覚について、「カンデル神経科学」(日本語第2版)第28 and 29章を概説する。(廣田) 聴覚、嗅覚、味覚系における情報処理について、その基礎となる神経回路や構成原理を理解すること。
第10回 運動の構成と計画 「カンデル神経科学」(日本語第2版)第30章を概説する。(宮下) 運動するために脳がどのような計算をする必要があるか理解すること。
第11回 運動単位と脊髄反射 「カンデル神経科学」(日本語第2版)第31章、32章を概説する。(宮下) アクチュエータとしての筋肉の特性とフィードバック制御機構としての脊髄反射を理解すること。
第12回 随意運動:一次運動野 「カンデル神経科学」(日本語第2版)第34章を概説する。(宮下) 随意運動における一次運動野の役割を理解すること。
第13回 動機づけと生得的行動  「カンデル神経科学」(日本語第2版)40-43章を概説する。(黒田) ホメオスタシスや社会行動など、生存に必要な行動の神経基盤の基礎を、視床下部を中心に理解する。
第14回 学習と記憶 「カンデル神経科学」(日本語第2版)49, 52-54章を概説する。(黒田) 経験による神経系の可塑性としての学習、記憶などの神経機構の基礎を理解する。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

なし。

参考書、講義資料等

"Principles of Neural Sciences, Fifth edition", edited by Erick R. Kandel et al. McGraw Hill, 2013. 「カンデル神経科学」として2014年に日本語訳も出版されている。原著の第6版、和約は第2版の章立てを参考にした。
"Neuroscience –Exploring the brain– Fourth edition", edited by Bear MF, Connors BW, and Paradiso MA, 2016 「神経科学-脳の探求-」として西村書店から日本語訳も出版されている
受講生は講義資料をOCWからダウンロードすること。

成績評価の基準及び方法

神経科学の基本的知識の理解度を、講義毎の小テストまたは課題と、期末筆記試験により評価する。

関連する科目

  • LST.A410 : 神経科学
  • LAT.A405 : 認知心理学
  • HCB.M461 : 脳の計測
  • MEC.L431 : ヒト脳機能の基礎と計測
  • ICT.H509 : 脳機能計測
  • LAH.T309 : 言語学C
  • LST.A362 : 進化・発生学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし。

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