生体高分子である核酸、タンパク質および多糖の化学構造と生化学的意義に関する基本的概念を講義する。そのために必要な高分子化合物の一般的性質に関する概説をしたのちに、それらの生合成反応経路に関わる様々な生体高分子物質の構造や機能を理解し,その反応調節機構と生命工学分野における有効利用を図るための高次な理論と方法について講義する。
生体高分子の構造を学ぶに当たって、まず,化合物の命名法や分子構造や高次構造の習得を目指す。次いで、核酸・タンパク質・糖鎖の生体内での役割など生化学的意義及び化学としての理解を習得させる。最終的にはそれぞれの生体高分子の工学的利用法について理解することをねらいとする。
本講義を履修することにより以下の知識が習得できる。
1) 核酸、タンパク質、糖鎖の高分子化合物としての構造や物性の理解
2) 生体高分子の生合成経路を学ぶことによる生化学的意義
3) 生体高分子のバイオマテリアル創製のための工学的素養
核酸、タンパク質、糖鎖、分子量、生合成、構造と物性、バイオマテリアル
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
下記の教科書を適宜用いながら核酸、タンパク質、糖鎖毎に概説をする。毎回の授業内で小演習を実施して理解を深めルのを容易にする。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 高分子化合物の概念 | 高分子化合物の定義や性質を説明できる。 |
第2回 | 高分子化合物の分析に関わる測定手法 | 高分子化合物の性質を表す分子量などの分析手法を図解できる。 |
第3回 | 高分子化合物の物性と機能性 | 高分子化合物の物性を理解してバイオマテリアル創製など工学的利用を説明できる。 |
第4回 | 核酸の生合成 | 核酸が生合成される過程を図解できる。 |
第5回 | 核酸の化学構造と性質 | ヌクレオチドの化学構造式を描き、核酸の高次構造を説明することができる。 |
第6回 | 核酸の反応性 | 核酸の塩基部、糖部 リン酸部が関与する反応を例をあげて説明することができる。 |
第7回 | 核酸化学から核酸工学へ | 人工的に合成した核酸の生命科学・工学分野での応用について例をあげて説明できる。 |
第8回 | タンパク質の生合成 | タンパク質が生合成される過程を図解できる。 |
第9回 | タンパク質の化学構造と性質 | アミノ酸の化学構造式を描き、タンパク質の高次構造を説明することができる。 |
第10回 | タンパク質の反応性 | アミノ酸側鎖が関与する反応を例をあげて説明することができる。 |
第11回 | タンパク質化学からタンパク質工学へ | 人工的に合成したタンパク質の生命科学・工学分野での応用について例をあげて説明できる。 |
第12回 | 糖鎖の生合成 | 多糖が生合成される過程を図解できる。 |
第13回 | 糖鎖の化学構造と性質 | 単糖の化学構造式を描き、多糖の構造及び物性を説明することができる。 |
第14回 | 糖鎖の反応性 | 単糖のヒドロキシ基や還元末端のアセタールが関与する反応を例をあげて説明することができる。 |
第15回 | 糖鎖化学から糖鎖工学へ | 人工的に合成した糖鎖の生命科学・工学分野での応用について例をあげて説明できる。 |
現代有機化学ボルハルトショアー第6版(上・下)(化学同人;2011)、生化学ヴォート第3版(上・下)(東京化学同人; 2005)
特になし
毎回の授業内での小演習(20%)と、期末試験の成績(80%)の合算で評価する。
なし
森 俊明(tmori[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5782) 清尾康志(kseio[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5136) 上野隆史(tueno[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5844) 丸山厚(amaruyama[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5840)
メールなどで各教員に事前予約すること。