セラミックス(無機材料)は他の材料(有機材料、金属材料)と比べて、製品の特性が製造方法(プロセッシング)によって大きく変化する。本授業はセラミックプロセッシングの基礎知識を与える。最初の2回の講義で代表的なセラミックス製造方法を概観したのち、3回目以降の講義で、最も重要なセラミック製造方法である「焼結法」について、原料粉体の作製方法から、焼結までを順を追って説明する。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 焼結体製造に必要な一連の要素プロセスの概要を理解する。
2) 要素プロセスの基礎となる授業内容を復習し理解を深める。
3) 受講者自身が目的とする焼結体を製造する過程を設計できるようになる。
セラミックスプロセッシング、粉体合成、粉体分散、粉体成形、焼結
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
焼結によるセラミックス製造に必要な工程をそれぞれ2〜3回の授業で行う。授業時間内あるいは自宅学習として、練習問題を課す。毎回の授業で出席を取ります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 序論、プロセッシングとセラミックスの性質(1):代表的なセラミックスの作製方法 | 授業内容を理解し、焼結によるセラミックス製造以外の製造法を説明出来るようになる。 |
第2回 | プロセッシングとセラミックスの性質(2):焼結法によるセラミックス製造の概要 | 焼結法によるセラミックス製造の全体を説明出来るようになる。 |
第3回 | セラミック粉体の合成 (1):概要、固体からの合成、粉砕法 | セラミックス粉体の合成法および固体からの合成法について説明出来るようになる。 |
第4回 | セラミック粉体の合成 (2):液相からの合成 | 液相法によるセラミックス粉体の合成について説明出来るようになる。 |
第5回 | セラミック粉体の合成 (3):気相からの合成 | 気相法によるセラミックス粉体の合成について説明出来るようになる。 |
第6回 | 粉体の物理化学と評価 (1):粉体特性の因子 | 粉体の特性を決める因子について説明出来るようになる。 |
第7回 | 粉体の物理化学と評価 (2):粉体の特性評価方法 | 粉体特性の評価方法を説明出来るようになる。 |
第8回 | 粉体の物理化学と評価 (3):ガス吸着と比表面積測定 | 比表面積測定の原理を説明出来るようになる。 |
第9回 | 表面化学とレオロジー (1):粉体表面と表面エネルギー、濡れ性 | 粉体を液中に分散させるための因子を説明出来るようになる。 |
第10回 | 表面化学とレオロジー (2):粉体表面の帯電と液中分散 | 液中での粉体表面の帯電と液中分散の原理を説明出来るようになる。 |
第11回 | セラミック粉体の成形 (1):成型の概要、成形過程と成形体の評価 | 粉体の成型方法全体を説明出来るようになる。 |
第12回 | セラミック粉体の成形 (2):乾式加圧成形、鋳込成形 | 乾式法および鋳込み成形について説明出来るようになる。 |
第13回 | セラミック粉体の成形 (3):テープ成形、射出成形 | テープ成形、射出成形について説明出来るようになる。 |
第14回 | 焼結 (1):焼結の定義、駆動力、物質移動の経路 | 焼結現象について説明出来るようになる。 |
第15回 | 焼結 (2):焼結過程とその制御 | 焼結による緻密化の過程を理解し、その制御方法について説明出来るようになる。 |
指定なし
授業で扱う全ての資料は、事前にOCW-iにアップする。
参考書:
山口、柳田編、水谷他著『セラミックスプロセッシング』技報堂出版 (1985)
(社)日本セラミックス協会編『セラミックス工学ハンドブック』技報堂出版
G.Y.Onoda, et al.『Ceramic Processing before Firing』A Wiley-Interscience (1978)
R.J.Pugh et al.『Surface and Colloid Chemistry in Advanced Cramics Processing』Dekkar (1994)
W.D.Kingery他、小松他訳『セラミックス材料科学入門』内田老鶴圃(1980)
配点は期末試験、演習、レポート点等を加味して総合評価する。
履修条件は特に設けないが,関連する分野(熱力学、界面化学、欠陥の動力学など)について学修していることが望ましい。
ksino[at]ceram.titech.ac.jp、03-5734-2518
nakajima.a.aa[at]m.titech.ac.jp、03-5734-2524
メールあるいは電話で事前予約すること。