[概要]本講義では、物質の基礎的性質や反応性を原子・分子レベルで理解し、高分子を含めた有用な物質の設計および変換に関する高度な化学技術システムおよび、その活用を修得した化学者を養成するため、応用化学分野の最前線で活躍する研究者が、基礎から応用までの研究成果を紹介する。
[ねらい]応用化学分野の最前線で活躍する研究者の基礎から応用までの研究に関する幅広い知識を修得することを目標とする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
(1)物質の基礎的性質や反応性を原子・分子レベルで説明できる。(2)有用な物質の設計および変換に関する高度な化学技術システムを説明できる。(3)基礎から応用研究までの幅広い知識を説明できる。
基礎的性質、原子・分子、物質、化学技術、応用化学
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
対面とZoomによるハイブリッド型の講義形式で2名の講師がそれぞれ2日間の集中講義を行う。
前半:大宮寛久講師 ラジカルが拓く新触媒・新反応・新機能
後半:友岡克彦講師 キラル分子科学の再認識
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 1-1 「分子レベルのモノづくり:有機合成(1)」 私たちが豊かに生存し続けるために必要不可欠な物質である医薬品や機能性材料の多くは、有機分子から成り立っている。これら日常生活と密接に関わっている「価値のある有機分子」は、分子レベルのモノづくり「有機合成」によって、生み出されてきた。本講義では、有機合成と日常生活の繋がりについて紹介する。 1-2「分子レベルのモノづくり:有機合成(2)」 本講義では、ノーベル化学賞の授賞対象となった分野の解説を交えながら、分子レベルのモノづくり「有機合成」の魅力を伝える。具体的には、有機合成化学分野が対象となったノーベル化学賞2010「パラジウム触媒クロスカップリング」、2001「不斉水素化・酸化」、2021「不斉有機触媒」について解説する。 1-3「ラジカルが拓く新触媒・新反応・新機能」 我々の研究室は、新触媒・新反応・新機能を有機化学的な研究手法で創りだし、創薬・生命科学研究の未来を切り拓くことを目標に研究を行っている。その中でも、2017年以来、着実に研究成果を積み上げてきた「ラジカルが拓く新触媒・新反応・新機能の開拓」をフラッグシッププロジェクトとして掲げ、研究を展開している。本講演では、最近の成果について紹介する。 2-1 「合成戦略の立案 逆合成解析の実際」 有機合成化学の根幹を成す「標的分子の選択・設計」の理念と「合成法の立案」の基礎を概説する.「合成法の立案」に関しては逆合成解析(retrosynthetic analysis)の実際とそれを構成するsynthon,FGI: functional group interconversion,latent polarity,umpolung / retron,precursor,transform の考え方について演習を交えて解説する. 2-2「反応開発の実際」 反応開発の実例として私共が携わった「炭素−炭素結合形成反応」,「酸化反応」,「還元反応」,「付加環化反応」などの研究について解説する. 2-3「キラル分子科学の再認識」 キラル分子に関する研究の主たる対象は天然界に豊富に存在する炭素の中心性不斉を有するキラル炭素分子であるが,キラル分子はそれに限られるものではなく,他の要因に基づく多様なキラル分子が存在しうる.我々はそれら言うならば「非天然型のキラル分子」について,特に,「キラルケイ素分子」と「面不斉ヘテロ中員環分子」に関して系統的な研究を行ってきた.本講演ではそれらの科学の詳細とともに,キラル分子を光学活性体として得る新手法「動的不斉誘起法(DYASIN)」の原理と実例をご紹介したい. | (1)パラジウム触媒クロスカップリング、不斉水素化・酸化、不斉有機触媒の反応の特徴について説明できる (2)ラジカルを活用した反応化学の動向について説明できる (3)有機合成化学において基本となる合成戦略を説明できる (4)非天然型のキラル分子の動向について説明できる |
指定なし
なし
全授業出席を原則とし、毎回の授業で出席確認をする。成績評価はレポートにより行う。
履修の条件は設けない。
講義実施予定日
第一回:10/ 3(火):10:45-17:05(対面:すずかけ台、ハイフレックス:大岡山)
第二回:11/14(火):10:45-17:05(対面:大岡山、ハイフレックス:すずかけ台)