はじめに、高分子鎖の一次構造と形成する立体構造について概説します。回転異性状態近似に基づく高分子1本鎖のコンホメーションと物性を評価する方法について説明します。さらに高分子集合体のアモルファス構造、動的な構造特性、および配向構造について解説します。最後に,高分子鎖の立体構造転移と転移に伴う物性変化について解説し,高分子材料の物性制御へ応用した例について紹介します。
高分子鎖は、結合様式の組合せの多様性から無数の一次構造が考えられ、様々な立体構造が形成されて固有の物性を発現します。高分子の1本鎖の固有の性質と分子間相互作用を理解することは、高分子構造の基礎研究において必要不可欠であり、かつ、新規高分子材料の創製を目指した応用研究でも役立ちます。
本講義を履修することにより、高分子の構造に関する以下の能力を習得できる。
1) 高分子鎖のコンホメーション特性と物性相関を説明できる。
2) 高分子のアモルファス構造と動的構造における特徴を理解できる。
3) 高分子が形成する構造の転移挙動と機構 を理解できる。
コンホメーション、アモルファス、配向構造、動的構造、構造転移
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義内容は、スライドを利用した対面型で行う。講義中に理解度確認のチェックテストを行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 高分子の一次構造と立体構造ー概要 | 高分子の一次構造と形成される立体構造を理解する。 |
第2回 | 高分子のコンホメーションと物性 | 高分子鎖のコンホメーションとコンホメーションに依存する物性を理解する。 |
第3回 | アモルファス構造 | 高分子が形成するアモルファス構造の特性を理解する。 |
第4回 | 動的構造1 | バルク構造における高分子鎖の動的特性を理解する。 |
第5回 | 動的構造2 | バルク状態の動的構造の特徴と評価方法を理解する。 |
第6回 | 配向構造 | 高分子鎖の配向構造と異方的物性について理解する。 |
第7回 | 構造転移 | 立体構造転移と転移機構について理解する。 |
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書:特になし
高分子学会編「基礎高分子科学」東京化学同人 2006
松下他「高分子の構造と物性」講談社 2013
M. Rubinstein and R. H. Colby, "Polymer Physics", Oxford University Press, 2003
出欠状況と授業中に出題する理解度テストと課題レポートにより評価する。
高分子物理の知識を有していることが望ましい。