アボガドロ数もの原子で構成される固体では、結晶格子の周期性を反映した電子状態をとる。
本講義では、化学系の学生に馴染み深い分子軌道法を出発点とし、強結合近似によるバンドの形成と典型的な無機固体の電子構造を理解する。
結晶格子の周期性を波数を元に理解し、波数とエネルギーの分散関係を説明できるようにする。固体の電子状態を結晶構造・構成元素・原子価を元に説明できるようにする。
分子軌道法、バンド、ブロッホの定理、自由電子モデル、強結合近似、遷移金属酸化物、電子相関、結晶場分裂
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
事前に配布するスライドと板書を併用する形で授業を進める.各回とも、定められた講義範囲について十分に予習していることを前提に講義する.各講義の最後に 15 分の小テストを実施予定である.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 分子軌道法とバンド | 分子軌道法からスタートし、バンドの初歩的な概念を説明できる。 |
第2回 | ブロッホの定理 | 一次元の原子鎖を用いて、ブロッホの定理を導くことができる。 |
第3回 | ほとんど自由な電子モデル | 非常に弱い周期的なポテンシャルにおける自由電子の振る舞いを説明できる。 |
第4回 | 電気伝導 | 金属の電気伝導について微視的・巨視的な説明ができる。 |
第5回 | 原子軌道による線形結合法を用いたバンド構造 | LCAO近似を用いて、単純な1、2次元格子のバンド構造を描くことができる。 |
第6回 | 固体のバンド構造 | 典型的な固体のバンド構造を説明することができる。 |
第7回 | 遷移金属酸化物の電子構造 | 遷移金属酸化物の電子構造を結晶場分裂と電子相関の観点で説明することができる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
P A Cox (著), 魚崎 浩平 (翻訳), 米田 龍 (翻訳), 高橋 誠 (翻訳), 金子 晋 (翻訳), 「固体の電子構造と化学」、技報堂出版 、 ISBN-13:978-4765503716
藤森 淳 (著)、「強相関物質の基礎―原子、分子から固体へ」、内田老鶴圃、ISBN-13 : 978-4753656240
Charles Kittel (著), 宇野 良清 (翻訳), 新関 駒二郎 (翻訳), 山下 次郎 (翻訳), 津屋 昇 (翻訳), 森田 章 (翻訳)、「キッテル 固体物理学入門」、丸善 、ISBN-13 : 978-4621076569
各回の小テスト(20点)+期末試験 (80点)
特になし。
電話番号: 03-5734-2127, E-mail: yoshimatsu.k.aa[at]m.titech.ac.jp
*メールによる連絡を推奨する。
平日(要事前連絡)
2023年度に新たに開講された講義につき、授業計画と実際の講義内容が異なる場合があります。Advanced electronic structures in solids I (固体電子構造化学特論第一)は2024年度から開講予定です。今年度の講義は特論第一と特論第ニの重要部分を特論第ニとしてまとめて行います。そのため、2024年度以降は講義内容が一部異なります。