化学プロセスの装置内を流れる流体には、速度分布、温度分布が存在し、それらを制御する必要がある。そのため、プロセスエンジニアはこの流動現象や熱移動現象の理解が求められる。本講義では,移動現象である流動(運動量移動)と熱移動に関し、微分方程式を導出し、それを用いて解析する手法を学習する。そして、その理解を踏まえて、化学装置におけるエネルギー操作と設計法を学習する。
本講義を履修することにより,運動量,熱の移動現象を深く理解し,速度分布や温度分布を定量的に推算できる能力を習得し、さらに化学装置等を設計,操作する際の流体の流れや熱移動に関する複雑な問題を解決し、加えてエネルギー操作を行う装置の設計ができる能力を身につけることを目標とする。
流動現象解析,エネルギー方程式,エネルギー操作
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本講義は,流動現象の解析,エネルギーの移動の解析,エネルギー操作の順に講義を進める.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 流体の運動方程式の導出:Navier-Stokes方程式(1) | Navier-Stokes方程式の意味を理解できる。 |
第2回 | 様々な流れ場における速度分布の導出:Navier–Stokes方程式(2) | Navier-Stokes方程式に基づいた速度分布が導出できる。 |
第3回 | 境界層理論: 境界層流れの解析 | 境界層の考え方を理解できる。 |
第4回 | エネルギー方程式: 流体内の温度分布の導出 | 流体の速度分布と温度分布を推測できる。 |
第5回 | 熱交換器: 総括伝熱係数と対数平均温度差、熱交換器の設計 | 総括伝熱係数、対数平均温度差の考え方、および熱交換器の設計法について理解できる。 |
第6回 | 相変化を伴う伝熱: 沸騰・凝縮伝熱、相変化挙動と伝熱促進効果 | 沸騰伝熱、凝縮伝熱の考え方、および相変化挙動と伝熱促進効果の関係について理解できる。 |
第7回 | 蒸発操作: 蒸発操作、蒸発装置、多重効用缶 | 蒸発操作、蒸発装置、多重効用缶の考え方を理解できる。多重効用缶の熱収支・伝熱計算ができる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
授業で使用するスライドなどの資料をT2SCHOLAにより配信するので教科書は特に指定しない.
吉川史郎著「ベーシック移動現象論」電子版 化学同人(2015)
R.B.Bird, W.E.Stewart, E.N.Lightfoot: "Transport Phenomena" Revised 2nd Edition, Wiley(2006)
化学工学、移動現象、流体力学、伝熱工学というタイトルのついた書籍全般。 また、適宜、資料を配付する。
運動方程式,エネルギー方程式に基づく解析についての理解度およびエネルギー操作における各種装置設計に関する理解度を評価します.成績評価は期末試験,および講義中に出題する課題・演習によって行います.
化学工学4(移動現象基礎)を履修を強く推奨する。