持続的社会に実現に向け、バイオプロセスへの期待感は大きい。生物の多様な機能を工業的に利用する取組みは進んでおり、次世代を担う革新的なプロセス提供が可能となっている。そこで本講義では、生物を構成する分子、遺伝情報とタンパク質発現、酵素や細胞などの生体触媒を用いた反応について理解を深め、工学的観点からバイオプロセスについて学ぶことを目的とする。講義では、まず生物の特性について説明する。次に、酵素反応や微生物の増殖について、その量論的関係と反応速度を扱う。また、バイオリアクターにより微生物を用いて物質生産を行う際の操作法や培養の準備過程である殺菌・滅菌操作についても説明する。
本講義を履修することにより以下の能力を習得する。
1) 微生物や細胞を利用したバイオプロセスについて説明できる。
2) 酵素の特性を説明でき、その反応速度を解析できる。
3) 微生物の増殖特性を説明でき、速度論解析ができる。
4) バイオリアクターの特徴を理解し、操作指針を提示できる。
5) 遺伝情報の伝達とタンパク質の発現機構を説明できる。
遺伝子工学、微生物、酵素、代謝、反応速度、物質収支、バイオリアクター
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義内容の確実な理解と応用力を養うため、講義内容に関する演習や課題を課す。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 序論、生物化学工学とは | バイオプロセスの例について説明できる |
第2回 | 酵素の特性・酵素反応プロセス | 酵素の特性を説明でき、その反応速度を解析できる |
第3回 | 微生物反応プロセス・反応量論と速度論 | 微生物の特徴を理解し、細胞増殖の速度論を解析できる |
第4回 | バイオリアクター・連続培養・殺菌 | バイオリアクターを用いた微生物反応の特徴を理解し、操作指針を提示できる |
第5回 | 遺伝子工学 | 遺伝情報の伝達(DNA複製、転写、翻訳を含む)などについて理解し、基本的な遺伝子工学的手法を説明できる。 |
第6回 | 転写の制御と微生物による物質生産 | 転写制御機構を理解し、微生物内での目的タンパク質の発現誘導機構を説明できる。 |
第7回 | 理解度確認試験 | 学習内容を点検し、演習により総合的な理解度を高める。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね30分を目安に行うこと。
橋本健治著 『反応工学』 培風館
海野肇、中西一弘監修、丹治保典、今井正直、養王田正文、荻野博康著 『生物化学工学』第3版 講談社
小林猛、本多裕之著 『生物化学工学』 東京化学同人
授業内の課題(50%)、理解度確認試験(50%)
特になし