本講義では、高分子材料の中で重要な位置を占める高分子多成分系材料(ポリマーアロイ)の基礎として、相挙動、熱力学、相分離挙動、相分離構造制御、界面などについて説明する。
材料に要求される性能・機能は1つではないことから、いくつかの要求事項を満たすために、異なるポリマーを混ぜることが広く行われている。ここでは、その混合系材料の基礎として、物性に影響を及ぼす構造の発現機構、構造制御手法など材料設計について学んでほしい。
本講義を履修することにより、以下のことを習得することができる。
1)ポリマーアロイの実用材料としての幅広い用途
2)相図の熱力学、構造ー物性の関係や構造制御方法などの基礎的な概念
3)材料の基礎的な知識として学んできた物理化学等がその概念にどのように役立っているか
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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高分子多成分系材料(ポリマーアロイ)は、実用材料として多く用いられている。その混合系材料の基礎として、本講義で学ぶ物性に影響を及ぼす構造の発現機構、構造制御手法など材料設計は、特に重要であるとともに、材料開発に応用ができる。 |
ポリマーアロイ、ブレンド、相図、混合の自由エネルギー(Flory-Huggins式)、相分離構造制御、スピノーダル分解、核生成・成長、反応誘起型相分解
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
独自に作成した講義資料に基づき、質問を交えながら、講義を進めます。また、毎回の講義の最初に前回のクイズ(小テスト)の解答の説明を行い、講義の後半でその日の授業に関連するクイズに取り組んでもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション:ポリマーアロイの用途 | ポリマーアロイの定義と重要性、各種用途例と構造 |
第2回 | ポリマーアロイにおける構造ー物性の関係 | 構造制御による高性能化 |
第3回 | ポリマーアロイの相挙動 | 相溶性と相図 |
第4回 | ポリマーアロイの熱力学 | 混合の自由エネルギーの表現 |
第5回 | ポリマーアロイの相分離挙動 | スピノーダル分解や核形成・成長の機構 |
第6回 | ポリマーアロイの構造制御 | 反応ブレンドなどの応用 |
第7回 | ポリマーアロイの界面 | 界面厚み |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義資料(パワーポイントのコピー)
参考書として、“構造I:ポリマーアロイ”(扇澤著、共立出版)など
毎回のクイズ、およびレポート提出により評価を行なう。
学部レベルの高分子構造・物性の基礎を習得していること。