セラミックスが示す様々な現象の多くは、欠陥生成とその拡散に起因する。本講義では、固体中に生成する欠陥の種類、欠陥生成、拡散について、基本的な知識を与えるとともに、その応用として固相反応および焼結について動力学的に理解する。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 固体反応に関する動力学を体系的に整理し、理解する。
2) 欠陥生成、拡散の基礎を修得する。
3) 欠陥とその拡散の結果として起きる現象の例として、固相反応と焼結の動力学を理解する。
欠陥、拡散、フィックの法則、電気特性、固相反応、焼結、焼結の駆動力
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
授業時間内あるいは自宅学習として、練習問題を課す。毎回の授業で出席を取ります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 概論・格子欠陥(1):欠陥の種類、欠陥と結晶構造、欠陥とその表示法 | 授業内容を理解し、欠陥の種類とその表記法を説明出来るようになる。 |
第2回 | 格子欠陥(2):欠陥の熱力学、欠陥方程式、欠陥の会合 | 欠陥生成の熱力学、欠陥方程式について説明出来るようになる。 |
第3回 | 格子欠陥(3):欠陥方程式の応用、ジルコニアの欠陥、欠陥と電気特性 | ジルコニア等のセラミックスの欠陥と電気特性について説明出来るようになる。 |
第4回 | 拡散(1):拡散機構、拡散係数と移動度、非定常流拡散、数学的解析法 | 拡散の機構、拡散係数、拡散の取り扱いについて説明出来るようになる。 |
第5回 | 拡散(2):イオン結晶中の拡散(ハロゲン化アルカリ、金属酸化物)、イオン電導と拡散 | イオン結晶中の拡散について説明が出来るようになる。 |
第6回 | 拡散(3):拡散と固体構造、表面・粒界拡散、固体物性と拡散 | 拡散経路と物性の関係を説明出来るようになる。 |
第7回 | 欠陥の構造と機能:中間試験 | 前半の内容の試験を行う。 |
第8回 | 固相反応(1):固相反応の熱力学と動力学 | 固相反応の熱力学と動力学について説明出来るようになる。 |
第9回 | 固相反応(2):固相反応のメカニズム | 固相反応を分類し説明出来るようになる。 |
第10回 | 固相反応(3):平面反応の動力学、酸化反応、加成反応、トポ化学反応 | 平面反応を例に固相反応の反応速度を導出することが出来る。 |
第11回 | 固相反応(4):粉体反応の特徴、固相反応の律速段階、ヤンダーの取扱 | 粉体を用いた実際の系の固相反応をモデル化して説明出来るようになる。 |
第12回 | 焼結(1):界面の熱力学、固相焼結、液相焼結、反応焼結 | 界面の熱力学と焼結の種類を説明出来るようになる。 |
第13回 | 焼結(2):曲界面に働く力、焼結機構、微構造の変化 | 焼結の駆動力と拡散の関係を説明出来るようになる。 |
第14回 | 焼結(3):各種焼結機構とそれらの焼結速度式 | 物質輸送の経路と焼結機構を説明出来るようになる。 |
第15回 | 焼結(4):焼結の諸因子,焼結の最前線 | 焼結に影響を与える因子を説明出来るようになる。 |
無機材料化学I,標準応用化学講座24,野田稲吉編,加藤悦朗,中 重治 ,野田稲吉著,コロナ社(1977)
授業で扱う全ての資料は、事前にOCW-iにアップする。
参考書:
W.D.Kingery et al., Introduction to Ceramics, second ed., John Wiley & Sons (1976)
キンゲリー著,小松他訳,セラミックス材料科学入門,内田老鶴圃(1980)
配点は期末試験、演習、レポート点等を加味して総合評価する。
履修条件は特に設けないが,関連する分野(熱力学、化学反応動力学)について学修していることが望ましい。
ksino[at]ceram.titech.ac.jp, 03-5734-2518
メールあるいは電話で事前予約すること。