本実習では,放射線治療を実習を通して理解することを目的とする。放射線治療の第1段階としての治療計画のCT撮影に必要なCT値・阻止能比変換から始まり、治療計画、リニアックにおける線量測定、さらに近年は品質管理・品質保証の観点から重要性が高まってきた第3者によるリニアック出力測定の監査に使用されている蛍光ガラス線量計を利用した線量評価についても実習を行う。
放射線は現在の医療に欠かせないものになっており、近年の科学技術の発達により、放射線治療も大きな発展を遂げており,その適切で安全な運用や問題解決,また更なる高度化のために,これらを担える高度な物理の専門性を有した医学物理士を確立・拡充することが強く求められている。この実習で取り扱う内容は物理的な知識をいかに医療の現場に適用していくか,そのケーススタディと捉えることもできる。実際に手を動かして治療計画や線量測定等を行える貴重な機会を提供する。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)CT値の物理的意味を説明できる。
2)CT値の阻止能比変換の必要性について説明できる。
3)CTを利用した治療計画にどのようなツールが使用されるかを理解できる。
4)線量計を用いた線量計校正・リニアック出力測定ができる。
5)蛍光ガラス線量計を用いた線量評価ができる。
放射線治療、粒子線治療、CT値、阻止能比、治療計画、放射線計測、吸収線量、QAQC
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講師による簡単な説明の後、講師指導の元、実習を行います。実際に臨床に使用されている医療機器を用い、現場の医学物理関連のテーマを扱います。各回の学習目標をよく読み,課題を予習・復習で行って下さい。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | CTを用いて取得したCT値と阻止能比の変換を行う。(深堀) | CT値の物理的意味・CT値-阻止能比変換の理解 |
第2回 | 治療計画装置を用いて治療計画を実際に立てる。(兼松) | 治療計画プロセスの理解 |
第3回 | コバルト照射装置を用いて電離箱線量計で絶対線量測定を行い、線量計を校正する。(水野) | 吸収線量・線量計校正法の理解 |
第4回 | リニアックのX線の出力を電離箱線量計を用いて測定する。(水野) | リニアック出力測定法・各種補正係数の理解 |
第5回 | ガラス線量計による線量評価を行う。(水野) | 蛍光ガラス線量計による線量評価法の理解 |
指定しない。
各回の実習資料を配布します。
毎回の実習の中で,実習内容をレポートとして提出してもらい、その理解度から成績を評価します。
履修の条件を設けない。