2024年度 上級ミクロ経済学   Advanced Microeconomics

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開講元
経営工学コース
担当教員名
大和 毅彦 
授業形態
講義    (ブレンド型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火5-6(W9-508)  金5-6(W9-508)  
クラス
-
科目コード
IEE.B401
単位数
2
開講年度
2024年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2024年4月10日
講義資料更新日
-
使用言語
英語
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講義の概要とねらい

  本講義は、数理経済モデルを使った大学院レベルのミクロ経済学の理論分析を概説します。扱う具体的なトピックスは,選好が満たすべき公理、効用関数の存在定理、効用最大化問題、支出最小化問題、スルツキー方程式、需要関数の性質、顕示選好、支出関数の性質、シェパード・マッケンジーの捕題、消費の双対性、競争均衡の存在定理、厚生経済学の第一定理と第二定理、コアの収束定理、粗代替性と均衡の一意性、一般均衡動学分析などです。講義では、基本的経済概念を紹介し、経済学的に重要な性質や結果を、数理モデルを用いてどのように導出・分析するかを示します。最後に、市場メカニズムがなぜ重要なのか、広く用いられているのかについて議論します。
  ミクロ経済学は経済現象を理解する上で重要であり、経済学、経営工学や他の関連分野の研究において、ミクロ経済学の分析手法は必要不可欠です。講義と演習を組み合わせて、さまざな経済・経営状況に広く適用可能な分析手法の基礎を受講者が理解し身に付けられるようになることが授業の目的です。この授業で学ぶ数学的アプローチは市場メカニズムを分析するのに有益なだけではなく、他のさまざまなタイプの経済システムにも適用可能で、経済学や経営工学の分野で非常に有用です。受講者はこの講義を通して身に付ける分析手法が、経済学と経営工学の他の講義で役立つことを実感することでしょう。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)ミクロ経済学の基本的な考え方と、消費者と生産者の行動や市場メカニズムに関する数理モデルを説明できる。
2)効用最大化、支出最小化行動を分析できる。
3)需要関数、消費者余剰、補償変分、等価変分を計算し導出できる。
4)競争市場均衡の特性について、パレート効率性とコアの観点から説明し、厚生経済学の基本定理を証明できる。
5)均衡の存在、一意性と安定性の条件を説明し、存在、一意性と安定性に関する定理を証明できる。
6)経済取引において広く用いられている市場メカニズムを正当化できる。

キーワード

消費選択、効用最大化、支出最小化、消費者余剰、補償変分、等価変分、競争市場均衡、パレート効率性、コア、均衡の存在、均衡の一意性と安定性

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。講義の後半で,その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます。各回の学習目標をよく読み,課題を予習・復習で行って下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 イントロダクション:大学院で学ぶミクロ経済学、講義概要と目的 消費者行動の理論 1.消費者選好の公理 消費者選好の公理を説明できるようになる。
第2回 消費者行動の理論 1.効用関数の存在 消費者選好の公理を説明し、効用関数の存在定理が証明できる。
第3回 消費者行動の理論 2.消費選択 効用最大化問題と支出最小化問題 効用最大化問題と支出最小化問題を説明し、解くことができる。
第4回 消費者行動の理論 3.重要な恒等式:効用最大化と支出最小化 効用最大化と支出最小化に関する恒等式を証明できる。
第5回 消費者行動の理論 4.比較静学 比較静学について説明できる。
第6回 消費者行動の理論 5.総需要と需要関数の連続性 総需要と需要関数の連続性を説明できる。
第7回 消費者行動の理論 6. 補償変分、等価変分、消費者余剰 補償変分、等価変分、消費者余剰を比較できる。
第8回 完全競争市場:競争企業、市場均衡、厚生経済学 競争市場における均衡と均衡の特性を分析できる。
第9回 交換経済 A:一般均衡分析、ワルラス均衡の存在 競争均衡が存在するための条件を説明し、存在定理が証明できるようになる
第10回 交換経済 B:厚生経済学の第一定理 弱パレート効率性と強パレート効率性の相違を説明し、それらの同値定理を証明できるようになる。厚生経済学の第一定理が証明できるようになる。
第11回 交換経済 B:厚生経済学の第二定理 厚生経済学の第二定理とその証明が説明できるようになる。
第12回 均衡分析 A:コアとワルラス均衡配分 コアと競争均衡配分との関係、コアの収束定理とその証明が説明できるようになる。
第13回 均衡分析 B:均衡の一意性と安定性 均衡の一意性と安定性のための条件を説明し、一意性と安定性に関する定理を証明できるようになる。
第14回 生産経済:均衡の存在、厚生経済学の第一定理と第二定理 生産経済における競争均衡の特性を導出できるようになる。生産経済における厚生経済学の第一定理と第二定理を証明できる。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

Varian, H.R., Microeconomic Analysis, 3rd edition, Norton, 1992.

参考書、講義資料等

講義資料をT2SCHOLAに掲載するので、各自ダウンロードし,講義に持参して下さい。
参考書:
Mas-Collel, A., M.D. Whinston, and J.R. Green, Microeconomic Theory, Oxford University Press, 1995.
武隈愼一 「ミクロ経済学」(新世社,1999年)
西村和雄 「ミクロ経済学」 (東洋経済新報社,1990年)

成績評価の基準及び方法

消費者行動の理論、生産者行動の理論、市場均衡の理論の考え方,計算法及びそれらの応用に関する理解度を評価します。宿題、レポート、試験で成績を評価します。

関連する科目

  • IEE.B402 : 上級マクロ経済学
  • IEE.B403 : 上級非協力ゲーム理論
  • IEE.B404 : 上級協力ゲーム理論
  • IEE.B431 : ミクロ経済学特講
  • IEE.B433 : 数理経済学特講

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

経営工学系の研究室に所属している学生のみを対象とする.
ミクロ経済学第一、ミクロ経済学第二、非協力ゲーム理論、協力ゲーム理論を履修済み、または同等の知識があること。

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