本講義では、マクロ経済学に関するデータと理論を結び付けるマクロ実証分析の手法を学ぶ。動学的確率的一般均衡モデルの構造を理解して、データを用いた実証分析を行う能力を身につけることが本講義のねらいである。
本講義の到達目標は以下のとおりである。
1.動学的確率的一般均衡モデルを構築できるようになる。
2.データと理論を結び付けるマクロ実証分析を行えるようになる。
3.分析で得られた結果を経済学的に解釈できるようになる。
動学的確率的一般均衡モデル、ベクトル自己回帰モデル、ベイズ推計
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
スライドと板書を用いて講義形式の授業を行う。適宜、Matlabを用いた演習を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス | マクロ経済実証とは何か。 |
第2回 | 実物的景気循環モデル1: モデルの構造 | RBCモデルの構造を説明する。 |
第3回 | 実物的景気循環モデル2:位相図を用いた分析 | RBCモデルの構造を位相図を用いて説明する。 |
第4回 | 実物的景気循環モデル3:線形近似 | 線形近似の方法を解説する。 |
第5回 | ニューケインジアン・モデル1:モデルの構造 | NKモデルの構造を説明する。 |
第6回 | ニューケインジアン・モデル2:NKPCの導出 | NKPCの導出方法を説明する。 |
第7回 | ニューケインジアン・モデル3:Dynare | Dynareを用いたシミュレーション分析の方法を解説する。 |
第8回 | ベイズ推計とは | ベイズ推計の方法を解説する。 |
第9回 | ベクトル自己回帰モデルとギブスサンプリング | VARモデルの構造とギブスサンプリングを用いた推計方法を説明する。 |
第10回 | マルコフ転換モデル | マルコフ転換モデルの構造とその応用方法を説明する。 |
第11回 | 平滑推移モデルとMHアルゴリズム | 平滑推移モデルとMHアルゴリズムを用いた推計を説明する。 |
第12回 | 状態空間モデル | 状態空間モデルのベイズ推計の方法を解説する。 |
第13回 | 動学マクロ経済モデルの構造推計 | 状態空間モデルを利用したNKモデルのベイズ推計の方法を解説する。 |
第14回 | まとめ | まとめ |
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特に使用しない。
・Kim, C-J, and Charles R. Nelson, 1999. State-Space Models With Regime Switching: Classical and Gibbs-Sampling approaches With Applications, MIT Press.
・McCandless, G., 2008. The ABCs of RBCs - An Introduction to Dynamic Macroeconomic Models-, Harvard University Press.
・Joshua Chan, Gary Koop, Dale J. Poter and Justin L. Tobias, 2019. Bayesian Econometric Methods, Cambridge University Press.
期末試験(60%)とレポート(40%)
履修に際して、大学院レベルのマクロ経済学、ミクロ経済学、計量経済学の知識を有していることを前提とする。