この大学院のコースでは、デジタル空間における人間とエージェント(仮想エージェント, ロボットなど)の相互作用の複雑なダイナミクスを探求し、特に擬人化とデジタル空間における関係の理解に焦点を当てます。受講生は、仮想エージェントやロボットとの関係の形成と維持に関する理論的な枠組み、実証的な研究を学ぶ。ディスカッション、実践的な課題を通じて、受講生はこれらの相互作用の心理学的、社会的側面について洞察を深めます。
本科目は、以前「ヒューマン・ロボット・インタラクション」(IEE.C534)という名前であった講義を、2023年度から名称変更したものです。
本授業で受講生に到達してもらいたい目標は:
1) 基本的な心理学的および社会学的な知識、そしてそれらをヒューマン・エージェント・インタラクションのデザインにどのように応用するかを学ぶ。
2) 人間と仮想エージェントやロボットとのインタラクションで考慮すべき人間の能力や限界について理解する。
3) 新しい技術が社会に与えるインパクトについての批判的理解を養う。
ヒューマン・エージェント・インタラクション, 擬人化, アイデンティティ, 社会的関係, コミュニケーション, 共感
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各授業はヒューマン・エージェント・インタラクションに関する異なる話題を扱う。各授業は講義とグループディスカッションまたはグループワークから成る。実例や演習、議論などを通じて話題についての批判的理解を深める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション | 講義の内容や授業の流れ、履修の要件について説明します。 |
第2回 | 人間と仮想エージェントの相互作用と擬人化の概要 | この回では、コースの導入として、デジタル空間における人間と仮想エージェントの相互作用の重要性と、擬人化がデジタル空間における関係形成に果たす役割について説明します。 |
第3回 | 擬人化: 人間的な特徴の知覚と帰属 | 受講生は、擬人化が人間的な特徴を知覚し、帰属させる心理的なメカニズムについて詳しく学びます。 |
第4回 | 仮想エージェント関係における文化的視点 | この回では、仮想エージェント関係における文化的影響について探究します。受講生は、文化的な価値観、信念、規範が仮想エージェントとの関係の形成にどのような影響を与えるかを学びます。 |
第5回 | 仮想的なロマンスと親密な関係 | 受講生は、仮想的なロマンスと仮想エージェントとの親密な関係の複雑さを探求します。このクラスでは、仮想エージェントとの恋愛、コンパニオンシップ、親密さ、現実と仮想のつながりの理解が取り上げられます。 |
第6回 | 孤独と社会的孤立に対する仮想エージェントとしての社会的なコンパニオン | 受講生は、仮想エージェントが孤独や社会的孤立の問題に対処する可能性を検討します。この回では、仮想的なコンパニオンシップ、社会的サポートがカバーされます。 |
第7回 | Preparation Day: 最終レポート及びプレゼンテーションのためのチームビルディング | 最終レポートおよびプレゼンテーションはグループで行います。この回では受講生同士でチームを組み、チーム内の役割を決定します。 |
第8回 | 道徳と AI | TBA |
第9回 | エージェントとアイデンティティ | エージェントの社会的アイデンティティ(性別、年齢、人種など)の持つ意味と設計指針について学びます。 |
第10回 | 音声インタラクション | エージェントとのインタラクションの手段の重要なひとつである音声によるインタラクションの設計について学びます。 |
第11回 | 非言語インタラクション | 非言語情報は人間同士のコミュニケーションと同様に人間とエージェントとのインタラクションでも重要です。HAIでの非言語情報にはどのような方法があるのか、どのような考えで設計すべきなのかを学びます。 |
第12回 | エージェントと信頼 | 人間とエージェントの関係を考える上で人間がどのようにエージェントを信頼するかは重要な課題です。この授業では信頼の考え方や、人間とエージェントの信頼に影響しうる要因、信頼を高めるインタラクションデザインについて学びます。 |
第13回 | プレゼンテーション | 仮想エージェント・ロボット工学の応用分野の中から選択した特定の問題について短いプレゼンテーションを行う。 |
第14回 | ディスカッション | 人工知能への倫理的なガイドラインや仮想エージェント・ロボット技術が社会に与えるインパクトについての議論 |
学修効果を上げるため,配布資料等を参照しながら,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)を行うこと。
教科書は特に指定しない。
必要に応じて授業中あるいは T2SCHOLA で配布する。
授業への出席 20%。
プレゼンテーション 30%
プレゼンテーションのピアレビュー 10%
最終レポート 40%
特になし。英語で議論ができること。