経済・経営分野においては、これまで個人が合理的な行動をとることを前提に理論構築がなされてきた。一方で、実証研究や実験経済の結果からは、必ずしもその前提があてはまらない結果が数多く報告されており、その重要な要因として各個人が認識のバイアスや感情など心理的側面の影響があることがわかってきた。本講義は、個人の認識や感情などが経済および経営工学分野でどのように取り入れられているかを紹介する。
参加者は講義のほか、クラス内の実験などを通して、行動要因の影響を実体験として理解していくことを狙いとしている。
経済・経営分野における個人の認識のバイアスや感情の影響を理解し、理論研究や実社会のデータの解釈に対する重要性を認識する。また、そうした知見を商品開発、ワークスペースのデザイン、投資行動、制度設計など経済・経営活動に活かしていくアイデアをもつ。
合理性、認識のバイアス、感情、行動経済学、行動ファイナンス
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
4人の教員がそれぞれの専門分野における課題を講義する。また、授業内実験等を通し、行動経済・経営論に関する知見を高める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション 群集行動 (1):実験 イントロダクション 群集行動実験 | 群集行動実験の実施法を説明できる |
第2回 | 群集行動 (2):理論と分析 | 群集行動に関連した不確実性下の意思決定の理論を説明し、実験データを分析できる |
第3回 | 株取引 (1): 実験 | 株取引実験の実施法を説明できる |
第4回 | 株取引 (2): 理論と分析 | 株取引に関する理論を説明し、実験データを分析できる |
第5回 | 講義:非効率市場と行動ファイナンス | 効率性市場仮説の限界と心理学の関係を理解できる。 |
第6回 | 参加型授業:楽観度、リスク回避度、自信過剰 | 非効率な企業行動、投資行動の起きる行動的要因を理解する。 |
第7回 | 講義:行動ファイナンスと経営 | 行動ファイナンス研究の進展と企業経営への示唆を理解する。 |
第8回 | 感情とは何か | 感情という現象を理解する。 |
第9回 | 感情的情報処理とは何か | 合理的情報処理と感情的情報処理の対比を理解する。 |
第10回 | 社会的文脈の中での感情 | 対人間関係において感情の持つ意味と重要性を理解する。 |
第11回 | 人に感情経験を与える | 人に感情経験を与えることの意義とその方法,産業界での応用を理解する。 |
第12回 | 認知ギャップ | 組織成員間の認知ギャップについて理解する。 |
第13回 | 組織の中での意味形成 | 組織の中での意味形成を説明できる。 |
第14回 | ワークプレイス設計への応用 | ワークプレイスへの応用について討議する。 |
第15回 | ワークスタイル設計への応用 | ワークスタイル設計への応用について討議する。 |
特に無し。当日の講義資料はクラス内で配布する。
各教員が講義内で配布
クラス参加点 50%、レポート 50%
レポートの内容は初回授業で周知する
実験経済学 (IEE.B206)、経営財務論 (IEE.D302)、経営戦略・組織論 (IEE.D301)、工業心理学(IEE.C203)を履修もしくは同等の知識があることが望ましい。