本授業では感性計測の概要の説明後に、生理データ計測、官能検査、センサによる計測等センシングの方法及び多数のセンサを融合させたセンサフュージョンを学ぶ。その後、データ解析として多次元のデータ解析を行う多変量解析を学習する。多変量解析の中でもよく使われる主成分分析、判別分析、回帰分析、クラスタ分析を学び、さらに多層パーセプトロン、自己組織化マップ、SVM(Support Vector Machine)等の機械学習法を修得する。そして、これらの知識を元に生理データ、官能検査、センサデータ計測にもとづく感性情報センシングを事例を交えて学習する。
これからの時代には人間が機械に合わせるのではなく、人間に合わせていくことができる機械を実現していかなければならない。高齢化社会を迎えて人と機械の調和は今後ますます重要になっていく。人に優しい機械を作っていくためには、人間の感性情報をセンシングする必要があり、本講義では感性情報の計測法と感性データ解析の手法を学ぶ。
この講義を受講することにより、以下の能力を身につけることができる。
1) 生理学データ取得の原理を理解できる。
2) 官能検査の基礎を学び、官能検査を実施できる。
3) 感性計測に関するセンサの原理を理解できる。
4) 多変量解析、機械学習により、生理学データ、官能検査データ、センサデータのデータ解析ができる。
感性、生理学データ、官能検査、多変量解析、センサ、機械学習
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
前回の復習を最初に行い、その後各回の内容を学ぶ。できるだけ、事例を多く盛り込んで講義を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 感性計測の概要 | 感性計測の必要性とその概要を事例を交えて説明する。 |
第2回 | 心電計測 | 最も典型的な生理データ計測である心電計測について説明し、そこから得られる情報を述べる。 |
第3回 | 脳波・NIRS計測 | 脳波計測と近年用いられるようになった近赤外分光法のよる生体計測を説明する。 |
第4回 | 官能検査の分類 | 分析型、嗜好型の官能検査を説明する。 |
第5回 | 感覚情報の提示方法 | 官能検査における感覚情報の物理的な提示方法と手順を説明する。 |
第6回 | 官能検査のデータ処理法 | 官能検査における統計的なデータの取り扱いを説明する。 |
第7回 | 感性計測に必要なセンサ(視覚、聴覚、触覚) | 視覚センサ、マイクロフォン、触覚センサについて説明する。 |
第8回 | 感性計測に必要なセンサ(嗅覚、味覚) | 嗅覚センサ、味覚センサについて説明する。 |
第9回 | センサフュージョン | 異種センサ間の情報統合について説明する。 |
第10回 | 多変量解析の分類 | Superivisedもしくはunsupervised方式の多変量解析手法を説明する。 |
第11回 | 主成分分析法と判別分析法 | 多変量解析の中で代表的な手法である主成分分析法と判別分析法を説明する。 |
第12回 | 回帰分析法とクラスタ分析法 | 線形及び非線形回帰分析、様々な尺度にもとづくクラスタ分析を説明する。 |
第13回 | 機械学習(多層パーセプトロン、自己組織化マップ、SVM, Deep learning) | 感性情報解析で用いられる機械学習法を説明する。 |
第14回 | 生理データ計測、官能検査にもとづく感性情報センシング | 生理データや官能検査を用いた感性計測を事例を交えて述べる。 |
第15回 | センサデータ計測にもとづく感性情報センシング | 人工センサを用いた感性情報センシングを事例を交えて述べる。 |
授業中に資料を配布する
R.Oduda, P.E.Hart and D.G.Stork, パターン分類, Wiley-interscience, 2001 (ISBN 0-471-05669-3(英語)
中本編著、機械嗅覚と機械味覚のエッセンス、Wiley社、2016(英語)
随時行う小テスト(30%)と期末試験(70%)により達成度を評価する
確率と統計(学部授業:ICT. M202)を履修済みか同等の知識を有すること。
中本高道:e-mail: nakamoto[at]nt.pi.titech.ac.jp, 電話:5017
随時、あらかじめメールもしくは電話で予約して来てください。