医療診断や治療技術の進歩の一翼を担ってきたのが医用画像処理技術の進展です。医用画像処理技術は,狭義には,すでに取得された医用画像に対する処理及び解析を指しますが,本講義では,広義の画像処理,すなわち,データ収集から画像形成,画像再構成,処理,解析という広義の画像処理技術を学びます。具体的な講義項目は,医用画像機器で取得された画像の性質,X線・γ線を利用する医用画像装置で利用される画像再構成技術,超音波診断装置の画像生成・処理技術,コンピュータ診断支援技術などです。
本講義では,従来学んできた様々な信号処理技術や画像処理技術がどのように医学分野で利用されているかを,具体的なモダリティへの適用事例を踏まえて習得し,今後,医用画像分野における情報通信工学の技術者となるために必要な基礎を築くことを目的としています。
本講義を履修することによって,以下の能力を習得する。
1)現在医療の臨床現場で実際に利用されている医用画像装置で用いられている画像再構成技術,画像処理技術を習得することができる
2)これら技術の症例適用を学ぶことができる
3)最新の動向・課題を理解することができる
医用画像、画像再構成、医用画像処理、コンピュータ診断支援
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各回ごとに講義を行いますので、授業後に講義の復習を行ってください。
毎回の授業で出席をとります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 医用画像の分類と画像処理体系 | 医用画像の分類を理解し、医療画像処理の基本を説明できるようになる |
第2回 | X線画像の画像処理 | X線画像に適用される画像処理技術を理解し、一部の手法を実際の画像に適用できるようになる |
第3回 | 医用画像再構成と線形システム | 医用画像システムの線形モデル化を理解し、反復的再構成手法を説明できるようになる |
第4回 | X線CTの画像再構成 | 投影データの性質を理解し、X線CTの画像再構成原理を説明できるようになる |
第5回 | X線CTの画像再構成 | 投影データの性質を理解し、X線CTの画像再構成原理を説明できるようになる |
第6回 | 医用画像処理に用いられる統計技術 | 各授放射性核種の性質を理解し、観測データがポワソン仮定に従うことを説明できるようになる業内で指示する |
第7回 | 医用画像処理に用いられる逆問題技術 | 統計雑音を含むデータの取り扱いを理解し、最尤推定法を説明できるようになる |
第8回 | 核医学診断装置の画像再構成 | SPECT, PET観測データの性質を理解し、画像再構成原理を説明できるようになる |
第9回 | 超音波の特性と画像形成の基礎 | 超音波の物理的性質の基礎と画像形成法について学ぶ。 |
第10回 | 超音波トランスデューサ | 超音波を送受する超音波トランスデューサのしくみと性質について学ぶ。 |
第11回 | 超音波測定に用いる信号処理 | 超音波測定に用いるフィルタ、相関処理などの信号処理法について学習する。 |
第12回 | アレイ動作の基礎とBモード像の構成法 | 超音波アレイトランスデユーサによるフォーカシング、フェーズドアレイ方式ビーム制御、およびBモード像の構成方法について学ぶ。 |
第13回 | 超音波ドップラの基礎 | 超音波ドップラ法の基礎、Mモード、血流測定の手法などについて学ぶ。 |
第14回 | 光コヒーレンストモグラフィ | 光コヒーレンストモグラフィによる断層画像取得法について学ぶ。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし
授業で扱う全ての資料は、事前にOCW-iにアップする。
医用画像の知識,医用画像処理の基本技及び様々な医用画像装置における実際の処理手法に関する理解度を評価する。小テスト、レポート(50%)および期末レポート(50%)により成績を評価する。
本講義受講には、学部レベルの基礎的な画像処理技術の知識を習得していることが必要。
ICT.H421(医用画像診断装置)を受講していることが望ましい。