情報技術におけるイメージング(情報の可視化・画像化)の必要性を解説し,身近なイメージングデバイスとして主に電子写真技術を例に取り,大面積な薄膜半導体材料として用いられる有機半導体材料を取り上げる.有機半導体材料の電気的な特性として,電荷輸送特性や光キャリア生成特性などを解説する.各イメージングデバイス(電子写真,有機EL,有機トランジスタなど)においてどのような有機半導体材料が望ましいかをそのデバイスの要請より解説する.
現代社会は大量の情報が流通しているが,情報技術における「情報とは何か」を示し,人が情報を知覚するためにはイメージング(情報の可視化・画像化)が必須であること解説する.本講義では,そのイメージングデバイスで用いられる感光体,電荷輸送材料として大面積薄膜半導体となる有機半導体材料に焦点を当てる.有機半導体材料は電荷輸送能力としてはシリコンなどの無機材料に比べ劣るものの,デバイスとして要請される性質を満たすことで電子写真感光体などに実用的に利用されている点を説明する.
本講義を履修することによって次の能力を修得する.
1)薄膜半導体材料がイメージングデバイスを実現するのに必須であることの理解し説明できること
2)材料の基礎物性がどのようにイメージングデバイスの実現に利用されているかを理解し説明できること
3)有機半導体の基礎物性を理解し説明できること
4)実際の有機半導体材料の化学構造とその電気特性の関連を理解
イメージングデバイス,大面積薄膜半導体材料,電子写真,アクティブマトリックス,有機半導体,ホッピング伝導,過渡光電流測定法,空間電荷制限電流,ディスオーダーモデル,オンサガーモデル,有機EL,有機トランジスタ,有機薄膜太陽電池
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義の後半で,その日の教授内容に関する簡単な演習問題に取り組んでもらいます.各回の学習目標をよく読み,課題を予習・復習で行って下さい.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 情報とは何か -情報流通技術と材料- | イメージングデバイスと大面積薄膜半導体材料の必要性の理解 |
第2回 | イメージングデバイス -電子写真- | 電子写真(カールソン法)の理解 |
第3回 | イメージングデバイス -液晶ディスプレイ- | 液晶ディスプレイの動作とアクティブマトリックスの必要性の理解 |
第4回 | 薄膜半導体材料と製膜方法 | 薄膜半導体材料とそのプロセスの理解 |
第5回 | 有機物中の電気伝導 | 有機半導体におけるキャリア密度,ホッピング伝導の理解 |
第6回 | 電荷輸送特性の評価方法 | 過渡光電流測定法の理解,空間電荷制限電流の理解 |
第7回 | 有機半導体における電荷輸送 -アモルファス材料- | ディスオーダモデルの理解 |
第8回 | 有機半導体における電荷輸送 -結晶材料- | 有機半導体におけるバンド伝導の理解 |
第9回 | 有機半導体材料と電子写真 | 電子写真における有機半導体材料の要請の理解 |
第10回 | 有機半導体の光伝導性とキャリア生成 | オンサガーモデルによるキャリア生成の理解 |
第11回 | 有機半導体材料と有機EL | 有機ELにおける有機半導体材料の要請の理解 |
第12回 | 有機半導体への電荷注入とその機構 | 有機半導体と電極とのコンタクトの理解 |
第13回 | 有機半導体材料と有機トランジスタ | 有機トランジスタにおける有機半導体材料の要請の理解 |
第14回 | 有機半導体材料と有機薄膜太陽電池 | 有機薄膜太陽電池における有機半導体材料の要請の理解 |
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義資料にて説明
講義資料はT2SCHOLAにて掲載
Paul M. Borsenberger and David S. Weiss. Organic photoreceptors for xerography. New York : Marcel Dekker; ISBN-9780824701734.
イメージングデバイス用の薄膜半導体材料と有機半導体に関する理解度,応用力を評価する.
レポート(70%)と演習(30%)で成績を評価する.
特になし.